【TOYO TIRES CUP 2024】日本代表 5-0 タイ代表(1月1日/国立競技場)
細谷真大がポテンシャルの高さを見せつけたワンシーンだった。
柏レイソルに所属する22歳のFWは、タイ代表での元日代表戦にCFで先発。コンディションが上がらず別メニュー調整だった上田綺世、浅野拓磨に代わってフル出場した。
シュートは前半の3本、74分のオウンゴールをフリックで誘発していたとはいえ、ゴールはなくCFというポジションを考えれば決して満足できる結果ではなかった。本人も試合後、「スペースの少ない中でなんとか工夫してボールを受けようと思っていましたが、もう少しチャンスを作れた」と悔やんだ。
それでも、潜在能力は存分に見せ、とりわけポストプレーはかなりハイレベルだった。とくに印象深いのが、22分のシーンだ。田中碧からのスルーパスに抜け出した細谷は、まずはシュートを狙ったはずだが、相手DFが背中に付いたことを即座に察知してポストプレーに切り替える。
そのままペナルティーエリア内で身体を張ってボールをキープし、右足で落とす。走り込んだ伊藤涼太郎のダイレクトシュートを引き出した。細谷が強靭さとボールコントロールの両面を兼備していることを示したシーンだった。
他にも、GK鈴木彩艶からのロングフィードをチャンスに繋げた67分など、ポストプレーの確度は秀逸だった。本人も「後半はとくにポストプレーが多くなりましたが、去年からそこにこだわってやってきていたので、この舞台でそれを出せたのはポジティブに捉えても良いと思います」と手応えを口にした。
CFというポジションで最も大事なのはもちろんゴールだが、ポストプレーも極めて重要な攻撃時のタスクだ。とくに今の日本代表のように伊東純也、三笘薫、久保建英、中村敬斗、堂安など2列目に決定力の高いタレントを揃えるチームの1トップは、彼らを前向きにプレーさせ、シュートを引き出す動きが求められる。細谷はその能力が間違いなく高い。
タイ戦の約2時間半後に細谷は、アジアカップの登録メンバー入りも決定。まだ4キャップの22歳ながら、古橋亨梧や町野修斗など海外組を押しのけての選出となった。パリ五輪を目指すU-22日本代表のエース格でもあるストライカーには、アジアカップでフィニッシュとポストプレーの両面で期待したい。