【TOYO TIRES CUP 2024】日本代表 5-0 タイ代表(1月1日/国立競技場)
停滞気味だった雰囲気を一変させたのが、背番号10のクオリティーと強気の姿勢だった。
タイ代表を迎えた日本サッカー史上初の元日代表戦は、フレッシュなメンバー構成だった前半がボールこそ支配するもノーゴール。スコアレスでハーフタイムを迎え、満員だった国立競技場もやや重苦しい雰囲気にも包まれた。
そんな空気を払拭したのが、堂安律だ。後半から伊藤涼太郎に代わってトップ下に入ったレフティーは、左右に流れながら積極的にボールを受ける。そして、51分には待望の先制点を生み出す。
ハーフウェーラインを超えた左ハーフスペースで縦パスを受けた堂安は、相手を上手くブロックしながらファーストタッチでターンして前を向く。そのまま抜け出すと、右サイドに開いていた伊東純也に斜めの美しい正確なクロス。伊東は中央に切り返してパスを出すと、相手DFに当たったボールを拾った田中碧が右足で豪快にゴールネットを揺らした。
堂安の見事なプレ・アシストから、日本代表にとって2024年の初ゴールが生まれた瞬間だった。
試合後に堂安は、「前半のメンバーが相手を消耗させてくれたと思うので、間で受けることを意識していました」と回顧。プレアシストについては、「前半を見ていても、相手を剥がせてはいるので、その後のクオリティー次第かなと思っていた。後半の早めの時間帯に点が取れて良かった」と胸を張った。
堂安はその後も持ち前のクオリティーを随所で発揮し、74分のオウンゴール、90+1分の南野拓実の5点目も演出。3ゴールに直接関与するハイパフォーマンスを見せた。
「前半は新しい選手も多く緊張感もあったので、上手いシーンはあったけど、最後のエゴやワガママさがちょっと欠けている印象もあった。そこは僕や拓実くんの特長でもあるので、出していこうと。監督にはギアを上げてほしいと言われていたので、結果的には5点取れて良かったと思います」
ゴールやアシストはなく「数字が欲しかったです。相手が緩かったし、弱かったので」と悔やんだ堂安だが、そのクオリティーと強気の姿勢がこの日の日本代表のギアになったのは紛れもない事実だ。
1月12日に開幕するアジアカップに向けては、タイ戦でプレーした伊東、南野、中村敬斗に加え、この日は不在だった久保建英、三笘薫、前田大然、旗手怜央も合流し、2列目はまさに豪華絢爛だ。そんな中でスタメンでも途中出場でも違いが作れる堂安は、日本代表にとって大きな武器となることだろう。