日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」で、出場する棋士を発表する監督会議が1月6日に放送された。チーム関西B(大阪・奈良・和歌山)の監督を務める畠山鎮八段(54)は、愛弟子でタイトル経験者の斎藤慎太郎八段(30)ら安定感抜群の4人を出場登録。今年秋に予定されている大阪府高槻市への関西将棋会館移設に華を添えるべく、是が非でも“日本一の座”を地元へ持ち帰る。
関西3県のチーム関西Bを束ねる畠山監督。タイトル経験を持つベテランから伸び盛りの若手まで全22名のエントリーリストの中から、大阪府八尾市出身の実力者・大石直嗣七段(34)、関西将棋会館が移設される“新本拠地”高槻市出身の古森悠太五段(28)、和歌山県新宮市出身の強豪・大橋貴洸七段(31)、監督の愛弟子で奈良市出身の斎藤慎太郎八段(30)を選出した。
大阪代表として選出した大石七段、古森五段は、持ち時間5分、1手指すごとに5秒が加算、持ち時間が切れると負けとなるフィッシャールールによるABEMAトーナメント出場経験がない。しかし、畠山八段は「この2人の将棋の強さはもちろんですが、人間的な素晴らしさについても見てほしい」と力強かった。さらに、愛弟子の斎藤八段については「身内には厳しくするつもりでしたが…」とは言え、「タイトル経験もあり、“奈良枠”として外せない」と登録を決断。さらに布陣を固めるべく「和歌山出身の大橋七段は、ABEMAトーナメントでの実績も十分」と実力を見込んで選び出した。
どのエリアを見渡しても強豪揃いの厳しい戦いが予想されるが、チーム関西Bは渡辺明九段(39)率いる関東B、杉本昌隆八段(54)の中部、深浦康市九段(51)とともに予選Bリーグへの振り分けが決定。初戦は藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)と豊島将之九段(33)の二枚看板がまぶしい優勝候補・チーム中部とのカードとなった。畠山監督は「豊島さんは大阪に一番長く住んでいたような…?途中で関西Bを救いに来るとかはないんですかね?」と杉本監督にチラリと視線を送る場面も。それでも「藤井さんをはじめ、最強の棋士たちにぶつかって戦っていける良い機会を得たと思っている」と気持ちを奮い立たせていた。
関西将棋会館の移設は今年秋に迫っており、大阪府を擁するチーム関西Bの躍進、優勝は何よりの祝砲となる。「うちのチームは、一番“挑戦者”らしい厳しい戦いになると思う。それでも、高槻市への新会館移設を担う地域の代表として盛り上げて、力以上の結果を出さなければいけないと思っている」と込める気持ちは熱い。熱血漢・畠山八段率いる関西Bの躍進はいかに。その戦いぶりに期待せずにはいられない。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)