100周年を迎える日本将棋連盟で、会長を務める羽生善治九段(53)が年始早々、本気で動く。日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」で、出場する棋士を発表する監督会議が1月6日に放送された。チーム関東A(茨城・栃木・群馬・千葉・埼玉)の監督にもなった羽生九段は、連盟会長として「地域の活性化は不可欠」と述べるとともに、地元のチームを応援し、そして勝つという文化の形成を狙う。
連盟会長に就任してすぐ目標として掲げた「将棋による地域の活性化」。単に将棋を普及させるだけでなく、将棋の力を使って地域を盛り上げてこそ、また将棋の存在意義も増してくる。そんな思いを各棋士に伝えてきただけに、今回の企画への思いは強い。「今まで様々な将棋の企画はあったのですが、地域対抗は初めての試み。監督という形で参加できるのはとても光栄ですし、自分なりに一生懸命チームとして盛り上げたいです」と、企画するだけでなく、その中で自ら動いていこうというのだから、本気具合もうかがえる。
スローガンは、イベント時にファンから出た声をまとめる形で「ねばり強く 一致団結して 一丸となって 楽しむ」に決まった。出場登録棋士の人選にも、スローガンの色がよく出たものになった。「百折不撓」の木村一基九段(50)は、粘り強くという言葉がぴったり。A級棋士・佐々木勇気八段(29)はいつでもタイトル戦に出場する力を持ち、ムードメーカーにもなれる天真爛漫さを持つ。近藤誠也七段(27)と石井健太郎六段(30)は同門で気心も知れており、同じフィッシャールールで行われているABEMAトーナメントでの経験も十分。一致団結、一丸となって楽しむには理想的な4人が選べた。
将棋界になかった地域対抗戦。「地元のチームを応援する」という文化についてはスポーツ界を見本にする。「サッカーでもバスケットボールでも、地元のチームが勝って盛り上がっていくのがありまして、将棋でもそういった機運を作っていければと思います」と、贔屓のチームを応援することで、より競技人口の増加やレベルアップにもつながる。未来の将棋界に期待するのは、まさにこれだ。「応援してくださるサポーターのみなさまも、末永く育てていただくという気持ちで応援していただけたらありがたいです」と、初の試みをじっくりと成長させたい願いもある。
新年早々、日本将棋連盟会長が強い気持ちを持って取り組む地域対抗戦。将棋界は藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)の話題に終始しているここ数年だが、羽生九段は自チームを優勝させてでも日本全国を盛り上げに行く。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)