日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」で、出場する棋士を発表する監督会議が1月6日に放送された。全チームの出場登録棋士が発表されるともに、対戦する地域へ“敵に塩を送ろう”とのテーマで繰り広げられたトークコーナーでは、約30年前に谷川浩司永世名人(61)がタイトル戦を舞台に起こったハプニングを回顧。神対応のエピソードにファンからは「さすが谷川先生」「塩送りすぎたw」との声が多数寄せられた。
地域同士が争い日本一を目指す「ABEMA地域対抗戦」だが、合戦以外では共に将棋の真理を追い求める仲間でもある。そこで、対戦する地域へ「敵に塩を送ろう」とのテーマで繰り広げられたトークコーナーでは、各地域が対戦相手の良いところを紹介するなど、互いの魅力をたっぷり紹介し合った。
そんな中で、チーム関西Bの監督を務める畠山鎮八段(54)がチーム関西Aを率いる谷川浩司十七世名人(61)のタイトル戦での一幕を紹介した。舞台は1991年度の王座戦五番勝負で、谷川王座に福崎文吾八段(肩書はそれぞれ当時)が挑戦したシリーズ最終局。第5局は千日手指し直しの大激戦となった。指し直し局の前にはそれぞれが缶入りのお茶を用意したが、終盤で福崎挑戦者のお茶がなくなってしまったという。そこで、谷川王座は相手に1缶を差し出し窮地を救う。畠山八段はこのエピソードに深く感銘を受けたといい、「私の中で一番印象に残っている」と紹介した。
当事者でもあった谷川十七世名人は、「福崎さんは飲み物がなくなってしまったんですよね。なくなったにも関わらず、空なのにずっとコップに注ごうとする動作をするんです。私は目の前に座っていたので、それがすごく気になってしまって。それなら、こちらはまだ2本くらい手元にあったので、1本差し出したんです」と振り返った。
しかし、敵に“お茶”を送ったところ「そのおかげで絶妙手を食らって、負かされて王座を失いましたけど…」。お茶とともに相手に初タイトルをも送ってしまうホロ苦い経験となったが、「それも今では良い思い出かなと思います」とほほ笑んだ。
貴重なエピソードに、ファンも大注目。「ほへー」「いいエピソードだ」「さすが谷川先生」「いいひとだ」「塩送りすぎたw」「しょっぱい…w」「へええ」「さすがタニー!かっこいいなあ」「みんなのお手本になるはずだよ」「優しい」と多くの声が寄せられていた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)