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【映像】灘中に不合格→合格した東京の御三家とは?
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 「息子が、灘中は、たぶんダメだと。これまでよく頑張ったねと、抱きしめて就寝」「明日は灘中の合格発表です。現地で結果を見てきます」「結果を受け止めて前に進むために」

【映像】灘中に不合格→合格した東京の御三家とは?

 2022年、中学受験に関するつぶやきが話題となり、現在もSNSのフォロワー数が1.2万人を超える「灘中までの道」さん。中学受験の道のりを綴った著書も出版し、ますます注目が集まる灘中さんに、息子さんに伴走した日々を聞いた。

 中学受験を考えたきっかけは「YouTubeやゲームに夢中になっている息子を見て、新しい環境に入れてあげたい」と考えた灘中さんの妻が中学受験の塾に申し込んだこと。

 小学3年生の2月から始めた中学受験。順調に塾に通っていたある日、灘中さんは息子が宿題の最後の問題を毎回飛ばしていることに気がついた。

 「『何でこの問題はやらないの?』と聞くと、息子は『この問題は都会にある特別なクラスだけがやる問題なんだ。挑戦してもしょうがない』と答えた。難しい問題に挑戦することなく諦めてしまう姿に非常に驚いた」

 塾には最難関校専用のクラスがあることを知った灘中さん。逃げずに挑戦する子になって欲しい━━選抜クラスを目指すべく灘中さんは息子の伴走者になることを決意。残業が多いサラリーマンだったが、「定時になったらどんなに仕事が残っていても帰る」と会社の仲間にも宣言した。

 休日も仕事のことは考えず子どもの勉強を最優先に、と意気込んだものの灘中さんは中学受験の問題の難易度の高さに驚愕。勉強は塾に任せ、息子のスケジュール管理と不正解だった問題を紙に書き写してリビングに貼るなどといったサポートに徹することにした。

 灘中さんのフォローのかいもあり息子は選抜クラスに合格。しかし、そのクラスは自宅から電車で片道1時間以上もかかる都心の校舎にしかなかった。

 灘中さんは「息子が『毎日迎えに来てほしい。パパと一緒に帰りたい』と言ってくれたので、うれしく思い、『絶対迎えに行くよ』と約束した」と振り返る。

 必ず迎えに行く━━どれだけ仕事があっても、電車の時間には打ち切り、塾へ直行する日々。帰りの電車の中では、間違えた問題を1問解く習慣にした。

 同じ問題に何度もつまずき、イライラしてしまいそうな場面でも灘中さんは「また間違えた。ここで見つかってよかったね」とポジティブに変換。灘中さんは頑張る息子に優しさや愛情を惜しみなく注いだ。

 電車での帰り道については「電車の中で、隣に座っていると自然に話をしてくれた。落ち込んでいた時には背中をさすって励ましたり、学校で起こったことや塾の友達の話、昔の思い出話などをしながら2人一緒に幸せな時間を過ごせた」と振り返る。

 そしてやってきた受験本番。全6校、8回の試験を受ける予定であったが、1校目の試験結果が不合格に。

 灘中さんは「目の前が真っ暗になった。頑張ってきた息子に不合格の烙印を押されたというような気がして、何も考えられなくなるというか…。どうやって、子どもと一緒に乗り越えたらいいんだ」と途方に暮れたという。

 しかしその後、4回試験を受け1つは落としたものの、3校の合格を勝ち取る。

 そして迎えた第一志望校、灘中学校の試験結果は…不合格。

 「番号がなかった時に、息子を見たら自分の番号のあたりを見つめていた。その時、自分が中学受験で何年もずっと一緒にいたのはこの時のためだったんだと気がつき、『(番号が)ない』って言った息子に対して、お腹に力を込めてにっこり笑って接してあげることができた」

 そんな父親を見て息子も微笑んだという。

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 受験を通して息子も「俺は強いぞ。もう2回も不合格を知ってるんだぞ」と灘中さんに話すなど精神的にも逞しく成長。その後、関東の超難関校・開成中学に合格した。

 灘中さんは、息子の進学先を公にはしていないが、現在も息子のチャレンジを応援する日常をSNSなどにつづっている。

 「息子と私は戦友だ。今でも電車に座ると、2人で座ってた時の事を思い出して懐かしくなる。苦しかったがいつも幸せだった」

 中学受験をともにした父と子の絆は、揺るぎないものとなった。

 中学受験について取材しているダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介氏は「中高一貫校で6年間、受験を挟まずに青春を謳歌できるのは大きなメリット。偏差値にかかわらず、魅力的な校風やカリキュラムを持つ学校も多い。一方で注意すべき点もある」と指摘する。

 「塾や試験会場への送迎、プリントの整理、過去問の進捗状況の管理など、中学受験の伴走では親の負担も相当なものになる。加えて、家計への負担も大きい。3年間みっちり通塾すると、塾によっては300万円近くかかる。追加で家庭教師や個別指導を頼んだ場合、受験料なども含めて総額400万円ほどに膨らむケースもある」

 「東京都が高校授業料無償化の所得制限撤廃を打ち出したことを受け、『3年分の学費が減るなら……』と新たに中学受験を検討する家庭も増えそうだが、入学前の段階でかなりの金銭負担が発生することも覚悟しておかないといけない」

 さらに「お子さんの適性にも目を向けてほしい。中学受験では、早生まれの子が不利になりやすいとも言われている。『うちの子は少し幼いし、遅咲きタイプだから高校受験で頑張ろう』という選択もありだ。『周りの子たちが中学受験するから』と何となくで流されるのではなく、メリットとデメリットをしっかり見極めたうえで受験に臨んでほしい」と注意を促した。
(『ABEMAヒルズ』より)

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