米ハーバード大学のクローディン・ゲイ学長が2日、辞任を表明。その背景をテレビ朝日外報部の中丸徹デスクが解説した。
【映像】ゲイ前学長が公聴会で答弁する様子
去年7月、名門ハーバード大学の学長に就任したクローディン・ゲイ氏。「黒人」として初めて、しかも「女性」というまさに自由の国・アメリカを象徴する出来事だった。しかし、イスラエルとハマスの紛争が始まると、学内で反ユダヤ主義的な言動が拡大。それを許容しているのでは?と公聴会にまで呼び出され問いただされる事態となった。公聴会では、ステファニク下院議員から「ユダヤ人に対する大量虐殺の扇動は大学の規則に違反するのか。イエスかノーで答えなさい」と問われると、ゲイ氏は「文脈によります」などと答えた。
反ユダヤ的な言動を許容しているとも取れるコメントにユダヤコミュニティからは批判が殺到。たった半年で辞任する事態に。アメリカを代表する大学の学長が、大学がイスラエルによるパレスチナ攻撃を非難する態度を取ったことで辞任に追い込まれるとはどういうことなのか。
中丸氏は、「今まさに起きているハマス(パレスチナ)とイスラエルの戦い」が問題の背景にあると話す。「アメリカというのは政財界にユダヤ系が浸透していて、ユダヤ側の論理で動くことが多かったが、今アメリカの若い人たちの中では、有色人種だけでなく白人の中でもパレスチナを支持しよう」という動きがあると説明。「『イスラエルやりすぎだ』とやられている側に共感を示す人が増えている」とした。続けて「インテリ層の間でも『イスラエルに肩入れしすぎるのはおかしい』と、アメリカの大学ではパレスチナ支持のデモが起きている」と現状を語った。
そういった動きに対し、「ユダヤ側は焦って、ユダヤに対する虐殺を促しているんじゃないか、反ユダヤ的な動きじゃないかと。ユダヤ人に対して反ユダヤというのは、『許せない』と数十年間生きてきたはずなのに、今ここへきて、逆にユダヤが強い側になってパレスチナが弱い側になってひっくり返そうとしているということに対して、ユダヤの資本がNOということで、この学長に対して文句を言った」と見方を示した。
その上で中丸氏は、アメリカの大学は大部分が寄付で運営されていると説明。「税金よりも、多くの部分が寄付で運営されているという事情がある。ハーバード大学はちょっと特殊だが、寄付の残高が日本円で7兆円。これを運用しているだけで5000億円ぐらい利益が出て、それで貧しい生徒の学費を払ったり、いい先生を呼んだり、研究に金を突っ込んだりということをしているわけだが、やはりその寄付は多くのところがお金持ちからきている。成功したOBからきている。そこにユダヤ系が多いわけだ。その方が寄付を絞りますと言うといろいろあったが、結局は『やめます』となってしまった」と解説した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)