世界最高峰の格闘技イベント”ONE Championshipの約4年ぶりとなる日本大会=1月28日(日)東京・有明アリーナ「ONE 165: Superlek vs. Takeru」。今大会では唯一の日本人対決として、平田樹VS三浦彩佳の女子アトム級MMAの一戦が組まれている。

三浦にとって日本での試合は2018年11月のパンクラス、日本人対決は2017年7月にシュートボクシングでの小田巻洋子戦以来だ。試合に向けた事前の記者会見出席も久々で「会見前日にInstagramで『オフィスカジュアル』を検索して、一式買いに行きましたよ!」と笑った。

三浦は昨年11月のONE Fight Night 16でメン・ボーに必殺のあやかロック=首投げからの袈裟固め&アームロックで一本勝ち。約2年半ぶりの勝利で、連敗から脱出した。下馬評ではメン・ボー有利と見られていた一戦で、まさに崖っぷちから生き残った試合だった。

「前回は相手ありきの試合で、みんなに『正直相手が勝つと思っていた』や『KOされると思っていた』と言われていた試合でした。本当に崖っぷちだったんですけど、私自身はずっと自分を信じていて、自分がやっていたことが間違いじゃないと感じられていたし、強くなっている実感もあっったんです。だから勝つことがその証明だと思っていたので、勝てて凄くホッとした試合ではありましたね。

なかなか試合が決まらない時期もあって、長南(亮)さんと言い合いになって口を利いてもらえなかったこともあったんですけど(苦笑)、これを逃したら次いつ試合が組まれるか分からないと思っていたし、そこも含めて本当に勝ててよかったです。本当は勝って色々アピールする必要もあると思うのですが、前回はそれどころじゃなくて(うれし泣きで)グッチャグチャになっていました(笑)」

ONE女子ストロー級MMA世界王者ション・ジンナンへのリベンジに向けて再出発した三浦だったが、次戦のオファーは日本大会でアトム級に階級を落として平田と対戦するというものだった。自身の目標にはつながらない試合、またプライべートの部分(※三浦は山本アーセンと交際中で、平田はアーセンの元交際相手)も話題にされる一戦だ。

オファーを受けた時は「正直、色んなことを考えて辛かった」という心境にもなったが「試合が組まれること自体は凄くありがたいし、私はプロなのでオファーを受けたからには断らないと決めているので、そこはもうやると決めました。ここでしっかり勝って、もう一度ジンナンまでたどり着きたい」と気持ちを切り替えた。

アトム級へのチャレンジも「まずトレーナーさんと階級を落とせるかどうかを相談をして、最終的に長南さんと3人と話して決めた」もので「食事も細かく考えて、今回はアトム級仕様で練習しています」と入念に準備を続けている。また今回の一戦をきっかけに三浦はアトム級・ストロー級の2階級でベルトを狙うという新たな目標もできた。

「試合が決まった時も(平田は)対戦相手としてはあまり興味がないというか、そんなに印象らしい印象はなかったですね。(勝つイメージができている?)逆にどう負けるのかなっていう。一切油断はしていないし、私は切羽詰まっている練習しかしていない、自分が誰よりも練習している自覚もあるので、この試合は絶対に負けない、絶対に勝つと信じています。

今回は自分自身との戦いになると思っていて、ここを乗り越えたらまた一つ精神面・気持ちが強くなれると思います。アトム級で上手く行ったら、アトム級でスタンプ・フェアテックス選手のベルトも狙いたいし、元々目標にしていたジンナンとの再戦も見えてくれると思います。この試合に勝つことで色んな可能性が見えてくると考えているので、だからすごく集中しています。

このタイミングでアトム級の試合が組まれたことをプラスに捉えれば、2階級でベルトを狙うきっかけになったと思っているので、どちらの階級でも行けるぞというところをファンのみなさんだけでなく、ONEの方々に見てもらいたいです」

試合では三浦の代名詞もなっている“あやかロック”に目がいくが、それは「対戦相手の対策もするんですけど、対策ばっかりになって、自分の持ち味を出せないこともある。そこはもうわがままを通してやらせてもらっています」という考えのもとだ。

「もちろん練習では違うこともやるし、別の技もやるんですよ。あやかロックだけじゃないからこそ、そこに自信があるというか。あやかロックがダメでも別の技があるし、ポジションごとに得意なものがあるから、あやかロックが決まらなくても怖くないんです。ただわがままを通してあやかロックばかりになるんですけど(笑)。(試合で勝つためにたくさん技をやる必要がない。一発勝負の試合では得意な形で勝つことも大事という考えもある?)人には信じる力というものがあるみたいで、私は『これだ!』と決めてやり通す力が人よりもあるのかもしれないです」

三浦は試合までX(旧Twitter)も一旦ストップし、Instagramでも自分が好きなもの以外は目に入れない・余計な情報は入ってこないようにしているという。三浦は自分を貫く強さで2階級制覇という大きな目標へ向けて歩み出す。

文/中村拓己

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