1月28日(日)有明アリーナにて「ONE 165: Superlek vs. Takeru」が行われ、山北渓人がONE MMAストロー級2位のボカン・マスンヤネに敗戦。ONE 2戦目にして、プロキャリア初黒星を喫した。
山北は専修大学出身のレスリングエリートで、2020年2月にパンクラスでプロデビュー。2022年7月にストロー級キング・オブ・パンクラス王座を獲得すると、無敗のままONEの舞台へ。ONEデビュー戦となった3月のONE Fight Night 8では元ONE MMAストロー級世界王者アレックス・シウバから勝利を収め、MMA戦績を8戦8勝としていた。
シウバ戦では抜群のレスリング・スクランブル力を発揮して黒帯柔術家のシウバを攻略。「僕はレスリングベースで柔術もできるというスタイル。打撃さえしっかり見えていれば、自分の思い通りのスタイルで海外でも戦っていけると思った」と自らのファイトスタイルへの自信を深めていた。
しかし今回のマスンヤネ戦では、マスンヤネのパワーとテイクダウンディフェンスに苦戦を強いられる。1Rからテイクダウンできない展開が続き、ガードポジションからの三角絞めや足関節を仕掛けたものの、マスンヤネのディフェンスを崩せず。結果的に判定3-0でマスンヤネが勝利し、山北はプロ9戦目にして初黒星を喫した。
試合後「3Rは自分らしい動きが出せたのですが、本当はあれを1Rからやりたかった。マスンヤネ選手がそれをやらせてくれなかった」と振り返った山北。想定外だったのはマスンヤネのフィジカルだ。マスンヤネ対策として階級が上の選手と練習を重ねてきた山北だったが「思っていた以上にパワーがあった。上の階級の選手とも違う感じです。パワーの質が違うというか、慣れていない感じでした」と外国人選手特有のものを感じたという。
この差を埋めるために必要なものは外国人選手との対戦経験しかない。山北が所属するリバーサルジム新宿Me,Weの山崎剛代表は「脇の固さとか力強さとかマスンヤネ選手の強いところは分かっていたのですが、実際やってみると感覚が違ったんだと思います。箕輪(ひろば)くんとやったグスタボ・バラートもそう。箕輪くんもしっかり対応していたと思うのですが、肌を合わせてみて想定とは違うものがあったんだと思います」と話している。
山北自身「これまで8戦やって無敗でこれたんですけど、海外の選手と対戦したのは今回が2戦目。どんどん外国人選手と試合をして経験を積んでいきたい」と課題は明確。世界で勝つためには外国人選手と試合を重ね、自分の技術をVS外国人用にアジャストすることが必須だ。山北の敗戦はこれから日本人ファイターがONEで勝っていくために必要なものが見えた一戦だった。
文/中村拓己
写真/ONE Championship