1月28日(日)有明アリーナにて「ONE 165: Superlek vs. Takeru」が行われ、平田樹VS三浦彩佳の女子日本人対決は三浦に軍配。得意のあやかロックこそ決まらなかったものの、組み技で平田を圧倒して勝利を掴んだ。

今大会で唯一の日本人対決となった平田と三浦の一戦、両者は対照的な立場でこの試合を迎えた。平田は昨年3月のONE Fight Night 8で元RIZIN王者のハム・ソヒに挑むも敗戦。「あの試合でやる勇気・やられても行く勇気や覚悟がないとダメだということを感じた」とメンタルを作り直し、三浦戦に向けて準備を続けてきた。

一方の三浦は昨年11月のONE Fight Night 16でメン・ボーに必殺のあやかロック=首投げからの袈裟固め&アームロックで一本勝ち。約2年半ぶりの勝利で連敗脱出すると、今大会ではアトム級に階級を下げて三浦と対戦することになり、アトム級&ストロー級でのタイトル獲得を目指しての出となった。

試合のポイントの一つは“あやかロックが決まるかどうか”。平田は三浦と同じ柔道ベースだけに「いざそう(あやかロックの形に)なったら何をやられているのか分かると思うし、逃げ方も分かるかもしれない。実際にそこを対策して勝っている選手もいるわけなので、別に困るところじゃない」と柔道技を改良したあやかロックの対策には自信を持っていた。

この言葉通り、平田はあやかロックの形を作らせなかったのだが、逆に三浦はディフェンスに徹する平田をバックコントロールを中心に攻め続けて圧倒。結果的に三浦が得意の組み技で平田から完勝を収めた。試合後、三浦のセコンドを務めたTRIBE TOKYO MMAの長南亮代表はこう語る。

「本人が試合後に『リスクを負って動けなかった』と言っていた通り、もっとリスクを負って攻めてよかったと思います。絶対下になりたくないという気持ちが最後まで強すぎたかなと。正直途中で勝てると分かった試合だったので、強引に技を仕掛けてもよかったと思います。

(平田のディフェンスについて)三浦が押し込んで首に手を巻いた時にション・ジンナンは腰を押してディフェンスしてたんですけど、平田選手はその場に座り込むようにディフェンスしてたんです。そのままディフェンスに徹していたので、逆に隙がなかったですね。あと今回は金網じゃなくてリングで、平田選手はロープの使い方も上手かったと思います。

そこで三浦も強引にロープ際から引っ張りだしてがぶったりすればよかったんですけど、下にならない・リスクを負わない戦い方を選んだので、ああいう(後ろについてコントロールする)展開になりましたね」

フィニッシュこそ逃したものの、試合展開としては三浦の完勝で、次につながる勝利であることには違いない。三浦本人はストロー級でのジンナンへのリベンジを目標に掲げていたが、長南代表によればアトム級で次戦の話も届いており「自分が見ている感じではアトム級の方がいいパフォーマンスを出せると思う」という。

「初めてのアトム級だったんですけど、計量の2日前にはリミットをパスしてたんです。ウォーミングアップの時にも今までで一番動きがよかったし、袈裟固めで抑え込まれた時もかなり力強くて、90kgある自分でも返すのが簡単じゃなかったくらいです。本人はストロー級へのこだわりがあるみたいですが、自分はアトム級でベルトを狙うのがいいと思いましたね。早速アトム級で次の試合の話も来ているので、本人と話して決めていきたいと思います」

リング外の部分(※三浦は山本アーセンと交際中で、平田はアーセンの元交際相手)を話題された試合だったが、アトム級へのチャレンジで掴んだ勝利は三浦の格闘家としての新たな可能性を見出す結果になったと言えるだろう。

文/中村拓己
写真/ONE Championship

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