自民党は15日、裏金問題に関する聞き取り調査の結果を発表した。
聞き取りの対象は安倍派や二階派の国会議員ら91人、総額は2018年からの5年間で5億7949万円。収支報告書不記載の理由については「派閥からの指示ないし説明による」と回答している。
キックバックを「使用した」と答えたのは53人。使い道は会合費、人件費、旅費・交通費、手土産代などで「政治活動費以外に用いた」「違法な使途に使用した」と回答した議員はいなかった。
また、キックバックのお金を「使用しなかった」と答えたのは31人。使わなかった理由について「“裏金”みたいなものではないかと思い、全額残した」などと回答している。
この聞き取り調査についてノンフィクションライターの石戸諭氏は「説明になっていない、情報を出し切っていない、身内をかばっているなどと批判が出るのは当然のことだ。そもそも私服を肥やすなど、政治活動費以外に用いていたとしても自分からわざわざ言うわけがない」と指摘。
その上で「例えば、手土産代に使用したと申告されても『いつ・誰に会うために購入したか』は証明できない。対して裏金を使用しなかったという議員も口座を公開するわけでもない。調査において誰がどのように回答したかも明らかになっておらず、これでは説明を果たしたとは到底言えない」と述べた。
そんな中、岸田総理は16日に始める所得税の確定申告を呼びかけた。
これに対し石戸氏は「国民は税務署から何を聞かれても証明できるよう1枚1枚領収書を付けるが、なぜ政治家は雑な説明でまかり通るのか。政治資金パーティー自体は行っても問題はないが、今の制度では不十分。誰からいくら集めて何に使ったのかを追える制度に転換してほしい」と指摘した。
さらに、報告書の中では「派閥の上に立つ人間が責任をとらないといけないと思う」など幹部の責任を問う声も多く記載されている点については「派閥の上に立つ人間・幹部とは結局誰のことなのか? 派閥の事務総長なのかその上のトップなのか、はっきりさせてほしい」と述べた。
野党が求める政治倫理審査会について石戸氏は「やらないよりもやった方がいい。もし突っぱねても、野党と国民からの追及が厳しくなるため、応じざるを得ないだろう。ある程度野党主導で進めていくべきだ」と考えを示した。
聞き取り調査を行なった弁護士らは再発を防ぐために法改正を提言している。
この点について石戸氏は「連座制を取り入れ、会計に問題が生じた際に国会議員も何らかの形で責任を負う形にしなければ、納得は得られないだろう」と述べた。
最後に石戸氏は「自民党の体質を問うことも重要だが、もっと大切なのは次の総選挙の争点を『政治と金』にすること。野党側も強く訴えていくべきだ。民主主義の王道としては、選挙によって誕生した新しい政権が『政治と金』に対してより透明性の高い政策を打ち出すこと。一時の怒りより、選挙で意思を示していきたい」と訴えた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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