冤罪で逮捕され、被告のままガンで亡くなった、大川原化工機元顧問の相嶋静夫さん。相嶋さんの妻が、その胸中を明かした。
 
【映像】相嶋さん遺族が無念を語る「めちゃくちゃにされて…」
 
「『俺、何にも悪いことしていないのに、なんでこんな目に遭うんだろう』。老後の一番大事な時期にめちゃくちゃにされて、悔やんでも、悔やんでも、悔やみきれない」(相嶋さんの妻)
 
 相嶋さんらは、大川原化工機の主力製品であるスプレードライヤ(噴霧乾燥機)が「生物兵器を製造可能」な機器だと疑われ、輸出を制限する外為法違反の容疑で逮捕された。大川原化工機は静岡県富士宮市に、液体を霧状にして、瞬時に乾燥させることで、粉末を作るスプレードライ(噴霧乾燥)の実験施設を持っている。相嶋さんが設計した肝いりの施設だ。ここから見える富士山を愛した相嶋さんは6年前、施設の近くに夫婦で引っ越した。研究・実験を指揮しつつ、富士山の麓で「第2の人生」を楽しむはずだった。ただ、わずか1年たらずで、平穏な生活は幕を閉じる。任意の事情聴取に応じるため、月1回は東京へ足を運ぶことになったのだ。そんな日々は1年半ほど続いた。
     
 相嶋さんの妻は、当時の警察とのやりとりについて「理解してもらえない」と言っていたと振り返る。そして2020年3月11日の明け方、自宅に突然捜査員が訪れ、相嶋さんは逮捕された。