日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Aリーグ2回戦・第1試合、北海道・東北 対 関西Aが2月17日に放送された。佐藤康光九段(54)VS広瀬章人九段(37)の対決となった第6局では、先手の佐藤九段が順調にリードを押し広げていたものの、最後終盤でまさかのトン死。超早指し戦だからこそ起きたまさかの幕切れに、両軍控室からは「ひえ~」と悲鳴が上がっていた。
4勝1敗と勢いに乗るチーム関西Aからは佐藤九段、背水の陣に臨む北海道・東北からは広瀬九段と、第6局は両軍ともにトップ棋士同士の対決となった。矢倉VS雁木の出だしとなった一戦は、佐藤九段が中盤で抜け出しリード。互いに譲れぬ一戦とあり、表情は公式戦さながらだ。佐藤九段は、仲間の久保利明九段(48)が築いた4勝を何としてでもチーム勝利につなげるべく、気迫あふれる指し回しを見せた。
終盤に突入後も優勢を築き、ABEMAの「SHOGI AI」は佐藤九段の勝率90%以上の数値を表示。勝ちは目前かと思われたところで事件が起きた。静かな対局室には、両者の考慮を急くように時間を告げる電子音が鳴り響く。緊張がピークに達する中、佐藤九段は後手玉に迫るべくしなる手つきで▲5一銀。しかし、この選択は唯一のトン死筋。関西Aの作戦会議室では、監督の谷川浩司十七世名人(61)と出口若武六段(28)が「あ~!銀渡すと…これはトン死…」、北海道・東北の控室からも「ひえ~!ほ~!どっち!?」との悲鳴が上がった。
天国か地獄か。瞬く間に起こったわずか一手の判断ミスによって形勢は大きく入れ替わり、「SHOGI AI」は広瀬九段の勝率99%を表示。一瞬の隙を見逃さず逆転に成功した広瀬九段に対し、投了を告げた佐藤九段はガックリと肩を落とし「勝ちきれなかったのも実力。チームにも申し訳ない」と悔しそうな表情を浮かべた。
急転直下の幕切れに、ファンも大興奮。コメント欄には「おやあ!?」「おやおや!?」「何が起きた」「やってもうた!」「ぎゃー!」「うそーん」「がっくし」「ああ~」「これぞフィッシャー」「将棋こわい」などの声があふれかえっていた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)