22日、日経平均株価終値は3万9098円68銭となり、1989年以来の史上最高値を34年ぶりに更新した。
なぜ今日本に株高の波がやってきているのか。要因の1つと見られるのがNISAだ。先月から非課税期間を無期限とした新NISA(少額投資非課税制度)がスタート。貯金など巨額の個人金融資産が株式市場に向かい、それが海外からの投資を呼んでいるとの見方がある。
こうした動きに反応を示したのが若者だ。昨年9月のニッセイアセットマネジメント調査によれば、20代~30代の約8割がNISAを利用または関心があると回答。実際に20代の取引口座数は、10年前の20万9144から215万4558へ10.3倍に激増している。
Xでは「若者はさっさと投資を始めた方がいいよね」「早いうちに投資しないと複利効果が得られない」などの声もあがっているが、一方で「お金がない若いうちは自分に使った方がいい」「世界一周でもした方が人生は豊かになるのでは?」との意見も見られる。
果たして若者は何に“投資”すべきなのか。『ABEMA Prime』では、“金融投資より経験派”の元電通マンと、“若い時から金融投資すべき派”で会社取締役のゲストを招き考えた。
金融投資は「経験と両立できる」
“学生時代から金融投資すべし”が持論の、HORIJUKU株式会社取締役の菊地夏紀氏は「自分が大学生だった20年前は、ITバブルが崩壊したタイミングで投資の環境が整っていなかった。今は新NISAなど様々な制度が整備され、税制面でも優遇される。興味があるなら絶対投資をした方がいい。それ自体が自己経験になる」と主張する。
「積立NISAは100円からできる。口座開設して書類を送り…100円投資して110円に増えた体験が貴重だ。最初は補助輪付きの三輪車ぐらいのイメージで練習する。自分も今はもっと早くやっておけばと思っている」と理由を説明した。
また、投資と経験は両立できないとの意見に対して「投資は経験と両立できる。自分は半導体の研究開発に携わり、液晶ディスプレイやフラッシュメモリーなど世界初の半導体を世に出したが、投資をしながら実現できた。今は40人ほどの会社の取締役として新たなチャレンジをしている。金銭的な余裕があるからこそ好きなことができる」と述べた。
今しかできない経験が「将来の自己実現」に
一方、Timewitch代表で、元電通マンの三浦健之助氏は「金融投資も経験のひとつだが、20代は“今しかできないこと”に投資すべき。将来的にもそれが自己実現につながる。自分は海外旅行にとにかく時間を費やし、28歳の誕生日はアフリカで黒人に囲まれて輪になって過ごした。海外で作った人脈が海外の人々と日本を結ぶ今のビジネスに活き、アイデンティティになっている」と主張する。
こうした人生を歩んだ背景には「新卒で電通という広告代理店に入社したが、事件があって同期が自殺した。その時に“何かがおかしい”と様々な書籍を読み、独立という道があることを知った。そして“独立にはオリジナリティが必要だ、貯金している場合じゃない”とひたすら自己投資した」という経緯があり、海外旅行のほかにプログラミングの勉強や英会話スクールに通う、数多く合コンに参加するなどの経験が「30歳で独立した時に活きた」と明かす。
そして、「ブラジル人と付き合って、ブラジルのスポーツ『カポエイラ』をやった経験から今、寝ている間にやっている時差ビジネスを思いついた。何が良いかより自分の“好き”を突き詰めた先に、栄光があるのではないか」と述べた。
学生はお金とどう向き合うべき?
10代でアパレルブランドを立ち上げた、実業家のハヤカワ五味氏は「自分は起業にお金を使い、借金が数千万円あった。18歳から10年ほどで返せる見込みが立ったが、裏を返せばこの後同額くらい稼げる見込みがあるということ。それを考えると起業してよかった。好きなことは深く長くやれるから奥行きが出る。とにかく熱中できることをやるべき。“スキルを得るため”など打算的な時点でつまらない。熱中したこと自体が実は経験なのでは」と述べた。
菊地氏は「“稼いでから金融投資すればいい”という人もいるが、いきなり始めるのはやめるべき。うまい話に引っかかって破産した人を大勢見てきた。100円から始めて投資リテラシーをつけ、自分のお金が目減りするところから知識を得る。小額からきちんと勉強するべき」と、お金との向き合い方に言及した。
一方、三浦氏は「アフリカに1人で行った時に散財して、お金が尽きた時、現地の羊飼いに付いていき、羊の大移動を手伝うことでお金をもらえた。それでバスに乗れて、飛行機で帰国できた。経験ができない言い訳をお金のせいにしてはいけない」と、お金がないからできた自身の経験を明かした。
ハヤカワ五味氏は「考え方が大事。同じリスクでも、取り返せないほど大きなリスクと、少し怪我をする程度では全く違う。小さいリスクは取るだけ得で価値になる。でも間違えて爆死するようなリスクは取るべきではない。自分の中で“ここまで”と決め、経験してみたいことを選択できると良いのでは」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
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