2月24日(土)佐賀・SAGAアリーナにて「RIZIN LANDMARK 8 in SAGA」が行われ、メインイベントで堀江圭功がルイス・グスタボと対戦。3Rに右フックでダウンを奪われて判定負けを喫した堀江だったが、ライト級の日本人エース候補として可能性を感じさせる試合を見せた。
昨年11月に鈴木千裕がヴガール・ケラモフを下してRIZINフェザー級王座に就くと、大晦日には朝倉海がRIZINバンタム級、堀口恭司がRIZINフライ級王座を戴冠。2023年後半は日本人選手が強さを見せたRIZINだが、2024年の開幕戦にはライト級の日本人=堀江圭功と矢地祐介が揃い踏みする大会となった。
特に堀江は昨年9月からライト級に階級を上げ、その初戦でスパイク・カーライルを撃破。今大会では堀江が九州・長崎出身ということもあり、メインイベントで3連勝中のルイス・グスタボとの対戦が組まれるなど、大きな期待を背負っての登場となった。
前戦で堀江はカーライルのレスリング・組み技に対応し、三日月蹴りをはじめとするボディへの攻撃に活路を見出した。組み技の強さを見せた形だったが、今回のグスタボはブラジル人らしい荒々しい打撃を得意とするタイプで、堀江が得意とする打撃力・スキルが試される試合だった。
試合は右ストレートで前に出てくるグスタボに対し、堀江がバックステップで距離を取りながらジャブとカーフキックを細かく当てていく。1R終盤にグスタボの左フックでフラッシュダウンしたものの、すぐに組みついて追撃を阻止。2Rに入っても丁寧な距離設定とジャブで間合いを制し、グスタボの左フックに片足タックルのカウンターを合わせてテイクダウンを奪い、トップキープして優勢にラウンドを終えた。
3Rも堀江ペースで試合が進んでいくが、グスタボが徐々に圧力を強め、逆に堀江の消耗が目立ち始める。試合中に右拳を痛めたこともあり、徐々にグスタボに後退させられると右フックで痛恨のダウンを奪われる。ここからは堀江がガードポジションでディフェンスに徹する形で試合が終わり、判定はグスタボに軍配が上がった。
ライト級転向2戦目で黒星を喫した堀江だが、ステップ&ジャブでグスタボとの正面衝突を避け、カーフキックで確実に足を削る。打撃だけに固執せずにテイクダウンを織り交ぜるMMAらしい試合運びも見せた。
試合前に「フェザー級は減量で弱っている自分を出していたが、ライト級は一番自分を出せる」「相性的に打撃系のグスタボだからこそ自分の強さが目立つ場面もある。カーライル戦とは違う自分が見せられると思う」と話していた堀江。ベストコンディションで戦えるライト級、そしてカーライル戦の経験とグスタボのファイトスタイルによって潜在能力が引き出されたと言っていい試合内容だった。もちろんパワーで勝るグスタボに2度のダウンを奪われ、体力的に競り負ける課題が見えたことも事実。その一方でライト級で海外の強豪に勝つためのヒントと突破口が見えた試合だったことも確かだ。
RIZINの榊原信行CEOも試合後の総括で「(堀江は)もう一歩のところだったと思います。まだライト級で戦うためのフィジカルが追いついていないのかなと思いましたけど、今回のメインを託して余りある素晴らしい戦いだった。最後の2分くらいの攻防で雌雄が決したという気がしないでもないし、負けはしましたけど、今後の堀江選手の活躍に期待したいと思わせる試合だった」と期待の言葉をかけている。
堀江と共に今大会に出場した矢地は対戦予定だったキム・ギョンピョの負傷欠場により、本来は一階級下の白川陸斗に一本勝ち。バックステージでは「これから海外の強豪と戦いながら成長していきたい。次回は説得力のある試合、みなさんに『やっぱり矢地だな』と思ってもらえるような試合をしたい」と語った。
榊原CEOは2024年のRIZINの方針として「海外プロモーションとの協業、Bellator、PFL、KSW、BKFC(ベアナックル)はじめ、あらゆる団体と接点を持って、RIZINのフェデレーション構想の一つのあり方として交流したい」と海外団体との交流強化を明言。「矢地選手が外国勢との戦いを望んでいることも含めて、海外の団体での戦いの機会を積極的に交渉して創っていきたいと感じた次第です」と話すように、RIZINファイターの海外遠征の機会も増えることだろう。
フェザー級以下の軽量級に比べると、ライト級は日本人の選手数が少なく、海外勢の強さが目立つ階級でもある。だからこそ外国人に勝つための技術・スキルを磨き、国内外で外国人選手との対戦経験を積むことが必要だ。そして今のRIZINにはそれが出来る環境もある。
今大会に出場した堀江と矢地、そして来月の「RIZIN LANDMARK 9 in KOBE」で王者ホベルト・サトシ・ソウザとノンタイトル戦で対戦する中村K太郎と、ライト級の日本人選手も少しずつ充実してきている。2024年はライト級の日本人が反撃の狼煙をあげる。そんな1年になることを期待したい。
文/中村拓己
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