現役の高校生たちが作ったオンラインゲーム、「マインクラフト」の世界の海と丘。実は日本の観光地、福井県坂井市にある東尋坊だ。
「高校生が帰宅後に、自宅からマインクラフトというゲーム上で坂井市のまちづくりに取り組んでいる」(坂井市デジタル帰宅部 事務局・松原ゆうさん、以下同)
これは「坂井市デジタル帰宅部」という取り組み。坂井市に住む高校生約30人がマインクラフトを使い、まちの新たな魅力を生み出そうと活動を行っている。
2006年、福井県内4つの町が合併し誕生した坂井市。東尋坊の他、北前船の寄港地として栄えた三国湊や丸岡城など、四季折々の自然と豊富な観光資源をもつ一方、認知度の低さや季節によって観光客数に差があるといった課題があるという。
「高校生が新しいアイデアを出して、若い世代の意見を取り入れることで大人もはっとさせられることもあり、早い時期から地元に対して愛着形成につながるような事業をしたい」
坂井市は市街地が東西に分散しているため、部員たちが集まるのが難しく、高校生たちが帰宅後に安心して取り組めることから、マインクラフト=(マイクラ)を舞台に2023年10月、「坂井市デジタル帰宅部」がスタートした。
部員たちは東尋坊、丸岡城、三国湊と3班に分かれ、それぞれの魅力と課題の解決案を話し合い、マインクラフト上で町にプレゼンするための模型作りを行う。
東尋坊のグループを担当している坂尾颯太さんは「駐車場が一つの課題で、常に広い所が空きっぱなしの状態。そこを活用するために、大きいカニのモニュメントを作り、入ったときに『すげえ』と楽しめる場を作れるような取り組みをしている」と語る。
宿や夜に飲食できる場所が少ないという課題がある三國湊班では、北前船をモチーフにした宿泊船や、地元の人と交流できる横丁も…。高校生ならではの斬新な発想が飛び出す。
坂井市事務局の松原さんは「『こういう視点で作ったので、こんな要素があるといいんじゃないか』という提案に持っていき、その要素をどのラインで市として実現できるかみたいなことをより考えてもらうための提案をする」とデジタル帰宅部の進行について語る。
平日夜に行われる部活動や合宿といった活動を経て、ゴールである坂井市への最終報告を目指す高校生たち。2月には、始めて対面での活動となる2日間の合宿を開催。普段はオンラインでしか接することのない部員たちが交流した。
合宿に参加した、部活動の顧問を務める坂井市の池田市長は「高校生のレベルの高さ、発想の豊かさを感じた。アイデアを受け止めて、これから実行していきたい」と話す。
2月15日には、海外に拠点を持つ企業の様々な国籍の人と意見交換を行う「グローバルプレゼンテーション」も実施された。
活動を続けていく中、部員たちにはこんな思いが…。
「デジタル帰宅部をやっていくうちに課題をわかって、もっと自分の地元について知りたいと思うようになった」(三国高校2年生 小澤琉空さん)
「地元を理解し、愛着をもてた」(三国高校2年生 出島虎太朗さん)
未来を担う高校生たちに地元への愛着を持ってほしい。プロジェクトにはそんな狙いも隠されているようだ。
「高校時代という貴重な時間を使って、みんな一生懸命地元の課題に対して取り組んでくれている。何か一つでも自分なりに持って帰れるものがあって、それを将来に活かしてくれると、私たちとしても一番嬉しい」(坂井市事務局・松原さん、以下同)
進路は県外の専門学校へ行く予定だという坂尾颯太さんは、「調理の修業を積んでから、好きな地元に戻って自分の店を経営していきたい」と語る。
高校生たちがゲームでまちづくりを行う「坂井市デジタル帰宅部」。2024年4月、坂井市への最終報告を行うということだ。
この取り組みについて、Trusted CEO、連続起業家のファリザ・アビドヴァ氏は次のように話す。
「若いうちに課題を解決するためのまちづくりに参加できるのは、素晴らしい取り組みだと思う。日本には観光資源がたくさんあって日本が好きな外国人も多いが、知られてない地域もある。その町でどういう体験ができるのかユーザー目線で発信することが大事」
また、ターゲットに合わせた情報発信の仕方も大事だという。
「どういう人たちに来てもらいたくて、どういう体験をさせたいのかという戦略を作ってターゲットに合わせた情報発信を行っていくことで、効果が出てくると思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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