その圧倒的存在感は、味方もたじろぐほどのものだった。日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Aリーグ1位決定戦、関東A 対 中国・四国が3月2日に放送された。中国・四国の菅井竜也八段（31）は、フルセットの最終局を含む3勝とチームの勝利に貢献。圧巻の指し回しは、チームメイトからも「味方にいてくれて良かった…」「強すぎる…」の声が上がるほどだった。
岡山市出身の菅井八段は、チーム中国・四国のエースとして予選リーグで大活躍。この試合では0-1で迎えた第2局に登場すると、“千駄ヶ谷の受け師”こと木村一基九段（50）との対戦へと向かった。公式戦では全8局の対戦があるものの、フィッシャールールでの対局は初。菅井八段が三間飛車を採用する出だしから、相穴熊に囲ってじっくりとした戦いへと展開した。
果敢な攻めを繰り出す木村九段に対し、菅井八段も盤面を広く使って対抗。ペースを握ると▲3六歩△同銀▲2六飛と、絶品の構想を披露すると仲間からも「は～これは達人！」「素人が真似するとヤケドしそうな手順だな！」と歓声が上がった。その後も危なげのない指し回しで木村九段を圧倒すると、チームメイトも「いや～強すぎる…」「この人が味方でいてくれて良かった…」「この人が敵は嫌すぎる！」と青ざめるほどの強さで勝利をもぎ取ってみせた。
菅井八段は勢いそのままに、続く第3局でも近藤誠也七段（27）を三間飛車で撃破。ねじり合いから終盤で二転三転したものの、菅井八段が受けの強さを見せつける形でチームに2勝目をもたらした。3連投となった第4局では石井健太郎六段（31）に敗れたものの、仲間の奮闘でフルセットが決まると最終第9局に登場。この大勝負では、関東A監督の羽生善治九段（54）とここでも三間飛車を採用。難解な将棋から、終盤に放った▲1三角成から抜け出し97手で勝利。チームを本戦進出に導く大きな勝利を持ち帰った。
激戦を制しホッとした表情を見せた菅井八段は、「チームが勝てたのが一番良かった。スピーディーな将棋の中で、いかに中終盤を面白く見せるかというのを皆考えている。チーム一丸となって、叶うことなら優勝を目指して頑張りたい」とコメント。ファンからは「たっちゃんつええ」「菅井さんすげえ」「ガイガイスー」「カッコええ」「さすがですわ」「さすがい！」と熱戦を労うコメントが多数寄せられていた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
