ベンチャーキャピタル投資額(対GDP比)
【映像】東南アジアと中東に投資する理由とは?
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 政府は2022年に「スタートアップ育成5カ年計画」を打ち出したが日本のベンチャーキャピタル投資は諸外国と比べてまだまだ低い。

【映像】東南アジアと中東に投資する理由とは?

 そんな中、村上世彰氏の次女であり村上財団・代表理事の村上フレンツェル玲氏らはベンチャーキャピタル「Kazea Capital」を2024年4月に設立すると発表した。投資対象は東南アジアや中東のフィンテックやAI関連のスタートアップ企業だという。

 『ABEMAヒルズ』では、村上氏に東南アジアや中東に着目した理由や、日本のマーケットへの評価について聞いた。

Kazua Capital
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━━東南アジアと中東を投資対象として選んだ理由は?

「私は東南アジアの金融のハブであるシンガポールに住んでいる中で、テクノロジーやソフトウェアのマーケットが成長しているのを感じていた。『この成長に投資を通して関わっていきたい』という思いがあった。また、東南アジアは現在人口6.7億人の大きなエリアであることに加え、日本の“人口ピラミッド”とは対照的に若年層が多い。若者が成長し、普段の生活やビジネスでテクノロジーを駆使しながら経済を成長させているのを見ていく中で、投資の必要性を感じた」

「中東については、特にサウジアラビアは今大きく変わってきている。サウジアラビアはイスラム教の国であるため、元々は男性と女性が同じ部屋に居られないなどのルールがあった。しかし、それがどんどん変わっていき、様々なビジネスが生まれているのと同時に、政府が積極的にテクノロジー、特にAI分野に投資をしている。そのため、マクロから見ても今後成長していくマーケットとみている」

━━東南アジアや中東のスタートアップ企業については、どんなところに注目し、どのようなサポートを考えているのか?

「特に東南アジアではIPO(新規上場株式)やイグジット(出資者らが保有する株式を売却し、投資した資金を回収して利益を得ること)のマーケットができていないという課題がある。一方で、日本からの資金は様々な形で東南アジアに入ってきており、日本の企業が東南アジアのスタートアップを買収をしたり、東南アジアの企業が日本の東証で上場するというオプションも徐々に出てきている。そのため、東南アジアのスタートアップにイグジットのサポートを行ったり、日本の投資家と東南アジアのスタートアップを繋げるようなサポートができればと考えている」

村上フレンツェル玲氏
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━━東南アジアや中東に投資したいという日本企業のニーズは高まっているのか?

「非常に高まっていて、ここ数年、日本の金融機関は東南アジアへの投資額を増やしている。日本でもスタートアップは注目はされているが、東南アジアはここ数年ずっと成長が続いていることから、日系企業も着目している」

━━日系企業が東南アジアのスタートアップに投資するメリットは?

「大きな日系企業は既にある程度国内のマーケットを獲得している。これから成長する市場としてどこに出るかを考える時に、その市場として東南アジアは『同じアジアであるため文化的に近いこと』やマクロから見た『成長性』の観点からも魅力がある」

━━一方で、2019年の「G7各国のベンチャーキャピタル投資額(対GDP比)」を見てみると、アメリカの0.63%に対して、日本は0.05%であり、イタリアの次に低い。日本のスタートアップも資金を必要としているが、どう見ているか?

「日本は東南アジアとは異なり上場株のマーケットがあり、IPOがしやすい状況。そのため、東南アジアにはユニコーンと呼ばれる評価額1500億円規模の未上場企業が50社ほどあるが、日本には1桁台しかない。大きく成長してからIPOするような企業が日本ではなかなか出ていないため、投資家から見ると“リターンを出しづらいマーケット”といえる」

「もう1つの課題は、優秀な人材が大企業に集まっており、その上、大企業を辞めて独立するチャレンジ精神を持っている方が日本では文化的な面からもなかなか出てきていないと個人的には感じている」

━━日本と東南アジアでは今後成長が見込める市場は異なる? 

「日本企業はまだこれから効率性を上げて大きくなる余地があるためBtoB、企業向けのソフトウェアのマーケットが非常に重要だと思う。一方で、東南アジアはまだ金融のインフラが整っていないため、私たちもフィンテックに投資をしていく。中東では政府がAIに力を入れており、例えばエヌビディアからチップを購入したり、研究所を積極的に作ったりしているため、AI市場が注目を集めている」

━━今後、東南アジア、中東の市場と日本の市場をどうつないでいくか?

「私たちは中東と東南アジアに投資をしていくが、やはり日本の企業、日本のスタートアップ、そして投資家の方々と連携しながらグローバルなエコシステムを作っていきたいと思っている。ぜひこれからもいろんな方々と関わってきたい」
(『ABEMAヒルズ』より)

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