将棋の藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)が第54期新人王戦を制した上野裕寿四段(20)との「記念対局」を行い、藤井竜王・名人が勝利を飾った(対局日は2023年12月4日)。3月10日には対局の様子がABEMAで配信され、中継に出演した佐々木勇気八段(29)は、解説の合間に“対・藤井対策”の現在地を語った。
昨年秋に、前人未踏の全八冠を手中に収めた藤井竜王・名人。タイトル戦で敗退することなく20連勝を飾るなど、その道程にはすでに数えきれないほどの金字塔が打ち立てられている。もちろん、棋士たちもその独壇場を指をくわえて眺めている訳ではない。“藤井聡太を止めろ!”とばかりに、牙城を崩すべく日夜研究に明け暮れている。
中継で大盤解説を担当した佐々木八段もその一人だ。2017年7月に公式戦29連勝という新記録を打ち立てた藤井四段に対し、初めて土を付けたのが佐々木八段だったとあり、当時は“時の人”として大注目を集めた。「あの時は藤井さんがここまでタイトルを制覇するとは思っていなかった。頑張らなくては、と思った時にはすでに追いつけなくなっていた」とし、「マラソン競技に似ていて、こちらも頑張って走っているんですえけど、向こう(藤井竜王・名人)が速すぎて見えないんです」と悔しそうな表情を見せる場面もあった。
現在、順位戦A級に所属し名実ともにトッププレーヤーの一人となった佐々木八段も、常に藤井竜王・名人の存在は意識しているという。聞き手を務めた本田小百合女流三段から「棋士の皆さんは藤井竜王・名人の弱点や、どうやったら勝てるのかというのをどのように考えていますか?」と問われると、「自分の良さを出すというのがひとつのポイント」と語った。
「私は盤面をパッと見た時に手が良く見える」と自身の長所を挙げた上で、「長所を活かして、読みが進められるようになると変わってくる」と自身の進化にも自信をのぞかせた。また、「藤井定跡に真っ向から勝負する」という手法も。「精度の高さを超えるように、詰みまで研究する方法もある」と高難度の方法についても言及した。
しかし、相手は無敵の八冠王。トップランナーだからこそ、その“距離”も痛いほど感じている様子で、「私はスポーツが得意なので、それならけっこういい勝負…いえ、分があるかも!」と笑い飛ばす場面もあった。この様子にファンも反応。「本当に過酷な世界だな」「棋士は全員 将棋の天才」「身体能力には自信があるw」「藤井先生も運動神経良かったんじゃなかったっけ…」など多数の声が寄せられていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)