弁護士なのに、実は元極道という異色の経歴を持つのが福島県いわき市出身の諸橋仁智氏だ。背中には入れ墨も入っている。
【映像】極道時代の諸橋弁護士
元々成績優秀で高校は進学校だったが、父親ががんで他界すると不良の道へ。2浪して大学に入ったものの、覚せい剤に手を出してしまい退学した。その後は暴力団組長のカバン持ちに。入れ墨を入れたのもこの頃で、闇金の取り立てに覚せい剤の売人と暴力団の構成員になった。自身も覚せい剤中毒になったが、結果的にそれが極道から足を洗うきっかけになった。2005年の当時28歳のときに覚せい剤の幻覚や幻聴に襲われ、渋谷スクランブル交差点で暴れていたところを警察に保護されて強制入院。退院後逮捕されて留置場へ。
心を入れ替えるきっかけとなったのは母親が差し入れてくれた1冊の本だ。いじめ、中卒、自殺未遂、そして極道の妻から司法試験に合格し、弁護士になった、大平光代氏著の『だから、あなたも生きぬいて』に感銘を受けて一念発起して、司法試験合格を目指し留置場で勉強を開始。背中を押したのは裁判官の「君ならできると思いますよ。頑張ってください」という一言だったという。判決は懲役1年6ヵ月執行猶予3年。組からも破門になりそこから猛勉強した結果、30歳で宅建、33歳で司法書士、そして37歳で司法試験に合格した。
そんな諸橋氏の「生き直しのコツ」3箇条は「1.生活リズムは朝方に!」「2.人間関係を取捨選択しろ!」「3.しつこくなれ!」というもの。現在は元極道の弁護士として、罪を償った元犯罪者など社会復帰に苦しむ人を応援する活動に力を入れているという。
千原ジュニアに「元々の地頭がよかったというのがあるでしょうね」と言葉をかけられた諸橋氏は「それは否定しないです。成績は本当によかった」と認めた。父親が他界したことが不良の道へ進むきっかけだったのかと改めて問われると、諸橋氏は「いま考えるとそうでした。そこから寂しくて夜遊びするようになって、どんどん成績も落ち。大学受験に失敗してそこから投げやりになってしまって、どんどん悪い道へ(進んでいった)」と振り返った。
覚せい剤を使用していた期間を「10年間ぐらいやっていた」と語る諸橋氏は「もちろん、今もやりたい」と、現在も依存症と戦っていることを告白した。
「生活リズムは朝方に!」を生き直しのコツにしている理由を問われると「“人間関係“にも関係するが、生活リズムが夜になると、悪い人と出会ってしまう。例えば朝、ラジオ体操に行ってそこでヤクザと知り合うかと言ったらなかなかない。結局は夜遊びして、飲み屋さんとか雀荘とか、そういうところで僕はヤクザと仲よくなってしまったので。生活を朝方に変えるというのはメンタルを整えるのも、勉強の面でも、そしていい人間関係を維持するためにも非常に重要な要素」と説明した。
「しつこくなれ!」については「自分の人生を反省すると、すごく投げやりに生きてきた。ちょっとつまずくと『もうやめた』みたいな。そこでこらえて、つまずいても立ち上がって続ける姿勢があれば違ったと思う。踏みとどまってもう一度立て直すというしつこさ、それが重要だと思っている」と、自身の経験からくるものだと語った。
暴力団から破門されたことについて「結果としてはよかったです」と語る諸橋氏だったが「ただそのとき僕はヤクザで頑張っていくつもりだったので、破門されたときはがっくりきて、本当に『もうどうしよう、人生終わった』って」と、当時を回顧した。
大平氏の著書との出会いが更生のきっかけとなった諸橋氏に、千原が「どういうマインドで『まず宅建』と言う風に移っていくんですか?」と問いかけると「大平先生の本が、立ち直るときに宅建、司法書士と資格を取っていったので、僕も真似をした」と明かした。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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