重量級を牽引してきた身長2メートルの強豪が、突如現われた中国の新星に何も出来ずに4ダウンの末に失神KO負け。衝撃のダウンシーンに魔裟斗が「2メートルが崩れ落ちた…」と驚きの声を上げると、実況も「ビルの解体爆破のように…」と言葉を失った。
3月20日、国立代々木競技場第一体育館で開催された「K-1 WORLD MAX」。王者シナ・カリミアン(イラン)と挑戦者リュウ・ツァー(中国)のK-1 WORLD GPクルーザー級タイトルマッチは、1ラウンドから計4つのダウンを重ねたリュウが、3ラウンドにカリミアンを右フックで失神KOに追い込み完勝。「K-1 30周年記念無差別級トーナメント」を制し衝撃の日本デビューを飾った中国人ファイターが、見事クルーザー級新王者に輝いた。
序盤からリュウが持ち前の硬いパンチとカーフキックを連打。カリミアンもローキック、ハイキックと反撃するが、リュウの左フックで最初のダウンを喫する。その後も防戦一方のカリミアン、ラウンド終了間際にもコーナーに串刺しのまま右フックを被弾し腰砕けで2度目のダウンを喫すると絶体絶命のピンチとなる。
2ラウンドに入ってもリュウの勢いは止まらない。後がないカリミアンも積極的に前に出るが、再び右フックでダウン。満身創痍で放ったバックブローも空を切り、リュウの左ストレートで4度目のダウンとなるが、直前のレフェリーの「ブレイク」のコールをリュウが聞いてなかったとし、ダウン無効、さらにイエローカードと厳しい裁定。さらに「ブレイク後に打撃を貰った」としてカリミアンに5分のインターバルが与えられる。
思わぬ形でダウンを免れ回復の機会まで得たカリミアンだったが、それでもダメージの蓄積もあり反撃の余力はない。一方のリュウは冷静かつ余裕の試合運び、ジワジワとボディを削りながらKOの機会を待つ。
この日のABEMAのゲスト解説、魔裟斗はリュウについて「強いですよ、この選手。195センチ90キロとは思えない大きな身体プラス、俊敏性もあるパワーもある」と大絶賛。その言葉どおり3ラウンドリュウは不敵な笑みを浮かべカリミアンにカーフキックを連発、さらにボディへと硬い拳を叩き込む。
王者カリミアンも攻撃の意思は見せるが、リュウの強いプレッシャーに手が出ない状態。カリミアンがローを散らし、今回全く入らない4度目のバックブローを試みるが空振り。一方のリュウもやや手が止まりお見合い状態が続くなか衝撃の一撃が飛び出した。
一度カーフで触って、カリミアンのジャブに合わせた渾身の右フック。ハンマーで殴られたかのように「グシャッ」と鈍い音とともにカリミアンの体がよじれ、後方に崩れ落ちた。ファンも「こいつは本物」「ダメージやばいな」「(カリミアンが)完全に実力で負けた」と騒然となった。
スローリプレーでも、リュウがカリミアンの打ち終わりを狙い放った強烈な右に、顔が大きく横へ振られその後足元から崩落するようにダウン。魔裟斗は「2メートルが崩れ落ちましたね…」と絶句、実況の長坂哲夫アナウンサーは「本当に凄いですね。ビルの解体爆破のように崩れ落ちていきました」と驚きを隠せない様子だった。