元プロボクシング日本王者の肩書で立ち技デビューを果たすも、富山在住のロシア人ファイターが顔が大きく歪むほど強烈な“ドンピシャ”のバックブロー2発で衝撃のKO。勝負が決した瞬間、ドクターがリングに駆け込み担架が投入される戦慄の失神KO劇だった。
3月20日、国立代々木競技場第一体育館で開催された「K-1 WORLD MAX」でヴィクトル・アキモフ(ブラジリアンタイ)と中島玲(フリー)が対戦。元プロボクシング日本スーパーウエルター級暫定王者でキックボクシング初挑戦となる注目の新人“浪速のタイソン”こと中島に大きな注目が集まるなか、急遽エントリーされた“富山から来たロシア人ファイター”が戦慄のバックブロー2発で豪快KO勝利を収めた。
「K-1 WORLD MAX 2024 -70㎏世界最強決定トーナメント」の初戦。試合開始から強いプレッシャーをかける中島に対し、アキモフもロープを背にパンチを合わせる。中島の早い踏み込みからのオーバーハンドも寸で交わしボディにパンチをまとめる。
極真空手からボクサーを経てキックボクシング参戦の中島は蹴りも難なくこなし強烈なローを見せるが、プロ12戦のアキモフも下がりながら中島に強いパンチを打たせない。しかし前へと強引に中島も攻撃を強めボディ狙いと、試合の主導権を握りつつあったラウンド残り数秒で試合が動く。
前に積極的に出る中島に対してゲスト解説の魔裟斗が「ちょっと力んでますよね」とコメント。ジワジワと前に詰める中島に対し終始下がり続けていたアキモフが中島の放った左のオーバーハンドの打ち終わりを狙いすましてバックブローでダウンを奪う。
2ラウンド、ワンダウン後の中島がローキックで仕掛ける。アキモフは再び下がり自分の距離を保って蹴りとパンチで相手との距離を取り続ける。中島は左ローを蹴りながら2度前へ、全く同じタイミングで縮まった距離に合わせてアキモフのバックブローが再び中島の顔面を捉えた。
2発目のバックブローは、1発目よりも強く中島の顔面に直撃。中島はリングに大の字で崩れ落ちる失神KO負け。ゲスト解説の武田幸三は「ドンピシャで狙ってましたね…」とアキモフの狙い通りの攻撃に感嘆した。
一発目のパンチの打ち終わりに続き、今度は中島の蹴り終わりのノーガードを突いた狙い通りのバックブロー。スローリプレーでは、中島の顔面が衝撃で大きく変形する程の衝撃で背後に崩れ落ちる壮絶シーンが映し出された。
勝ったアキモフは現在は富山在住のロシア人ファイター。ホーストカップなどに参戦し、10日前に試合をしたばかりだった。緊急参戦にも関わらずバックブロー2発での快勝に「おはようございます、みなさん」と日本語で挨拶。その後英語で「チャンスをモノにしました。みんな一人一人のおかげ」と喜びを爆発させた。
KOされた中島は腕などが動き反応はあるものの、担架で退場するほろ苦いK-1デビュー。ゲスト解説の魔娑斗は「ボクシングからK-1に来る時に、距離感が違うので最初は悩む。慣れるのに時間がかかります、それはK-1選手が総合をやるのに慣れるのと一緒です」と、別競技からの転向の難しさを語った。