3月23日(土)神戸ワールド記念ホールにて「RIZIN LANDMARK09」が行われ、木村“フィリップ”ミノルとブアカーオ・バンチャメークが対戦。ブアカーオが2Rに右ストレートでKO勝利し、2度目のRIZIN参戦でその強さを見せつけた。
大会5日前、追加カードとして緊急発表された木村とブアカーオの一戦。木村は昨年6月の「RIZIN.43」でロクク・ダリにKO勝ちしたものの、ドーピング検査で禁止薬物の陽性反応が出て失格、無効試合に変更された。さらに木村は大晦日「RIZIN.45」で安保瑠輝也との対戦が発表されたものの、事前に行われたドーピング検査で再び陽性だったため、試合中止という処分が下された。今回の試合は今年2月にRIZINが木村に行ったドーピング検査が陰性だったために組まれたものだ。
一方のブアカーオは昨年3月に安保と引き分けて以来、2度目のRIZIN参戦。旧K-1MAXで2度の世界王者に輝いたブアカーオが新生K-1の元スーパーライト級王者・安保に続いて、元スーパー・ウェルター級王者の木村と対戦する図式の一戦だ。
先にペースを掴んだのは木村だ。得意の左フック・左ボディを交えたコンビネーションでブアカーオを攻め立てていく。しかし百戦錬磨のブアカーオは木村の前足にローを集め、ガードを固めてボディへのヒザ蹴り。これで流れを引き戻すと、2Rには前蹴りと左ボディで木村の動きを止め、木村のガードを打ち抜くようなワンツーで木村をマットに沈めた。
試合後に木村は「絶妙に(パンチを)外されて、急所を外されていた」と振り返ったが、攻勢に見えた木村のパンチに対しても、ブアカーオは強固なブロッキングや前蹴りも合わせながら「木村のパンチはガードの上からでも効いた。だから集中し直して戦おうと思った」とクリーンヒットは許さなかった。
最終的にはブアカーオの右ストレートがフィニッシュとなったが、パンチが強い相手に対してローキックで足を潰し、距離を詰めてヒザ蹴りで攻めるのはハードパンチャー攻略の常套手段。パンチで踏み込む選手は前足のローをカットしづらく、パンチとヒザ蹴りは当たる距離が同じなのでヒザ蹴りがパンチのカウンターにもなりやすい。ブアカーオはパンチ主体の木村が一番嫌がる戦い方を実践したと言える。
もちろんハードパンチャーの木村相手にそれをやりきるのは、木村の強打を恐れないメンタルの強さと技の正確性も必要だ。現役時代にブアカーオと4度対戦している佐藤嘉洋氏は「年齢を重ねても技術は衰えない。それを生かす体力が今のブアカーオにはあるということ。今日のブアカーオの戦い方は技術と精神力がないと出来ないもので、それがない選手がブアカーオの真似をしても木村選手にやられる可能性はあると思います」とブアカーオの強さについて語っている。
試合後にはケージに上がった安保がブアカーオとの再戦をアピールし、ブアカーオもそれを迎え撃つ姿勢を見せた。旧K-1MAXからRIZINに戦いの場を変えても、ブアカーオの強さは衰え知らずだ。
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