アイドルやアーティストにとってあるあるの、プロデューサーによる条件付きの解散発表。そもそもプロデューサーとは売り出し方を考え、楽曲制作やパフォーマンスの指導、ライブのブッキングなど、さまざまな仕事を行うかじ取り役とも言える大切な存在だ。しかし近年では、お互いの考え方や方向性が合わず揉めることも少なくないという。アーティストはプロデューサーにどこまで従うべきなのか。そもそも必要なのか。『ABEMA Prime』では当事者と共に考えた。
去年4月にデビューした4人組ダンス&ボーカルグループ・KAIKA。アジアを舞台に活躍するアーティストを目指し日々ライブ活動を続けているが、去年12月のライブで「4月のライブで100人集められなければ解散」とプロデューサーが相談なしに突然発表した。リーダーのRikiyaは「ステージ上でお客さんと同じタイミングで知ったので、とにかく頭が真っ白というか。前触れも何もなかったので。えっ?っていう感情が最初に来た」と振り返る。
ダンサー・歌手として活動のかたわら、KAIKAで初めてプロデュースに挑戦した三浦史也氏(27)は、真意について「エンタメ要素として、前もって教えるよりはサプライズにしようと。発表した直後、“えーマジかよ”みたいな反応が来るかと思ったら、しーんとなってしまった。そこは謝るが、もう発表しちゃったし、やるしかない」。
サプライズ発表に対するファンの反応は「まだまだ下積み期間!リミットまでの時間が少なすぎる!」「成功させるしかないから集めてるけど、プロデューサーが鬼!」など否定的だが、三浦氏は「続ける=売れる、ではないと思っている。ゴールをあらかじめ設定しないで、見切り発車のまま進めてしまうのもよくない。そういった意味で、まずはクリアしていく目標。100人は正直、通過点でしかない」とプラスに捉えている。
KAIKAも4月29日のライブに向けて、スタジオでの練習にも熱が入っている。しかし、そこには三浦氏の姿はないという。Rikiyaは「リハーサルに来ることはほぼ無い。自分たちの目でしか見られないので、客観視していただきたい部分はある」。さらに、「ライブのブッキングを選んでほしい!」「やりたいことをやらせてほしい!」などメンバーからの不満も。
三浦氏は自身のプロデューサー像として、「いろいろ戦略を練るが、コントローラーを握っている感覚ではない。一緒の町を作っていく中のリーダーみたいな、メンバーとディスカッションしながらやっていく。逆にメンバーが現場でリハをしている時に、違う所で次のことを考えてサポートしていく」と説明。
一方で、危機感もあるといい、「みんなのスキルが足りないなど、思うところはある。要望をすべて受け入れて、みんな何でもOKになってしまうのも違う。その環境に慣れたら、たぶん新鮮な気持ちはメンバーもお客さんも無くなっていくと思うので、常に磨き続ける状況を継続していきたい。KAIKAとファンのみなさんでもっと結託してほしい」と明かした。
この議論にお笑いコンビ・EXITの兼近大樹は「“達成しないと解散”の次の一手が何になるのか。発表したということは前向きでしかないので、その先を共有できていないことが問題ではないか」と指摘。
EXITのりんたろー。は「別のストーリーを描いたほうがいい気がする。“100人入れたら継続”となっても誰も注目しないので、それを振りにするか、別の発信の手を考えないと」との考えを語った。
作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は、「昔は、このプロデューサーならテレビに出られるということがあった。今はYouTubeやサブスクで自ら売り出すことが可能になっているから、そこにあまり価値がない。どうやって演出するのか、売り出すのか、その仕掛けそのものが価値になってきている。ただ、僕の場合は優秀な編集者に出会って、“良い本ができた”ということもある。正解はどこにもないので、この人とできると思うならやっていけばいいし、絶対こいつとは付き合えないと思ったらなくてもいい。その選択肢は残しておく発想が大事だと思う」とした。(『ABEMA Prime』より)
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