障子を破る。胴上げで天井に穴を開ける。そんな映像が拡散し大きな騒動となった、神戸大学の非公認バドミントンサークル「BAD BOYS」の迷惑行為。3月10日から、62人が参加して行われた春合宿の中、宿泊先の旅館でのことだった。
神戸大学は3月25日、会見で謝罪。旅館に対し、副学長らが直接謝罪し、修繕費の負担などについて話し合っていること。サークルに対し、処分が決まるまで無期限の活動停止にしたことを明かした。ただ、サークルの顧問は合宿のことは知らなかったという。
SNSなどでは学生に重い処分を望む声が多数あがっているが、その一方で大学が会見することや厳罰を求める風潮に疑問を抱く声も。今回の行為は反省すべきことではあるが、社会は若気の至りから来る暴走に対しどこまで寛容であるべきなのか、『ABEMA Prime』で考えた。
■大学側の対応に明学大教授「謝罪会見まではしなくてよかったのでは」
この騒動をめぐる神戸大学側の対応について、歴史社会学者・明治学院大学教授の石原俊氏は「謝罪会見までせず、ホームページや文書で謝罪と処分の方針について発表するレベルで済んだのではないか」との見方を示す。
同大学の非公認サークルの扱いとして、届出のみで設立可、金銭的支援なし、大学施設の利用可、顧問教員の設置は任意となっている。「大学は学外での学生の生活管理、生活指導は基本的にはしない。特に非公認サークルにはお金を出していないので、しないことが前提だ。18歳以上であることも踏まえる必要はある」と説明する。
大学側の説明によると、被害に遭った旅館は謝罪を受け入れ、修復費用は協議中。学生側も謝罪の意向を示すが、旅館側は今回の件でメディアなどから電話が多数きているため「謝罪を控えてほしい」と断っているという。
EXx取締役CTOのTehu氏は「本人たちの声が聞きたい。大学は関係ないのでは」とし、「大人がケツを拭ってくれたという話になっているのは、逆にみんなにとって良くないと思う。決して許されはしないけど、先に進むしかない。そのために一旦整理は必要だ」と主張した。
■大炎上を経験したTehu氏「ネットを断って、リアルな友達とゆっくり時間を過ごして」
ネットでは「関係者は全員退学が当然」「あほな迷惑行為をする暇がないくらい学問を教えるべき」「勉強はできるのだろうが心が育ってない」などの厳しい声が挙がっている。石原氏は「ヒステリックな反応だと思う。刑事事件として立件されていないし、旅館側もする気はないわけだ。あくまで民事レベルで賠償金をどうするのかという話が進んでいる」と述べた。
社会の許容について、元経産省キャリア官僚で制度アナリストの宇佐美典也氏は「若気の至りみたいな失敗はみんなたくさんあるが、この件はかわいげがない。“俺たちは悪いことをしている”みたいなノリがあるわけだ。これまでも繰り返しそういう行動をしていて、学生間の同調圧力の中では止められないので、大学がビシッと示す責任はある。社会人になる前に止めてくれた社会に感謝すべきだし、炎上して良かったと思う」との見方を示す。
石原氏は大学側の処分を待つべきだとし、「今回の合宿にいたのは62人だったが、卒業生も含めたらずいぶんいるだろう。ただ調査は、いろいろな関与のレベルがあるし、やはり学生の人権も配慮した形で進められるべきだ。時間はかかるので、調査が終わるまで社会は見守るという態度が必要だし、罰則も神戸大学が前例に照らして自主的に、冷静に判断することが望ましいと思う」と述べた。
宇佐美氏は、過去にTehu氏が炎上したことを引き合いに、「青木大和くんという子と昔大炎上したが、周りにサポートしてくれる人が残って、2人とも大成した。炎上している人にとって、この瞬間は超地獄かもしれないが、長期的に見たら良いことが起きていると思う」と前向きに捉える。
Tehu氏は「炎上した時は1カ月家に引きこもって、ネット断ちをした。もしこれを見ていたら、今すぐに携帯を止めて、リアルな友達とゆっくり時間を過ごしてほしい」とアドバイスを送った。(『ABEMA Prime』より)
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