苦しむ人が多い花粉症に補助を出す会社が増えている。ほとんどが職場環境の改善や治療代の費用補助といったなか、一風変わった補助制度を取り入れた会社がある。
「“トロピカルエスケープ”という制度で1日3000円。花粉症の時期に会社から補助を出して、花粉症がない地域に社員が渡航してフルリモートで仕事できるようにする制度をやっています」(アイザック株式会社取締役・播口友紀氏)
「トロピカルエスケープ」は、花粉シーズンの2~4月に飛散量が少ない地域に滞在して花粉を気にすることなくリモートで仕事ができる制度。1泊3000円で最大20万円の補助だという。
実際にトロピカルエスケープを使っているという永井肇さんと細谷俊輝さんに話を聞いた。
「我々は今、宮古島にいる。トロピカルエスケープは、北海道でも海外でもどこでもいいのだが、行きやすいため沖縄を選ぶ人が多い」(永井さん)
花粉の飛散量が少なく温暖な気候のためもあってか、沖縄が人気のエスケープ先のようだ。沖縄に滞在することで症状は改善されるのだろうか。
「すごく改善されている。花粉の時期は目元がピリピリするが、今は全然ない。肌が痛くないというか、きれいな空気で仕事ができている感じがある」(細谷さん)
「飛行機を降りた瞬間から全然違うと感じた。ストレスはめちゃめちゃ改善される」(永井さん)
エスケープとはいえ、仕事をしているのは沖縄随一の観光スポット宮古島。仕事が終われば楽しみもあるそうだ。
「海が近いので散歩したり、夜は星を見に行ったり。後はお酒が好きなので、グーグルマップで評価の高いお店の開拓もした」(永井さん)
「週末などはレンタカーを借りてドライブしようかというような話もしている。場所が変わると、ご褒美感があっていい。週末に向けて頑張ろうという“エンジン”になると思っている」(細谷さん)
花粉が少なく仕事の生産性も上がり、プライベートも充実するトロピカルエスケープ。この制度を始めたのは播口氏の経験が元になっていた。
「僕がもともと重度の花粉症で、5~6年ぐらい3月丸々東京にいないような生活をしていた。沖縄やハワイに行ってめちゃくちゃ生産性も上がったので、会社の制度として取り入れた」
花粉症による生産性の低下は身をもって感じているという播口氏。リモートワークを推奨する会社であれば、こういった制度を取り入れていくべきだと述べる。
「メンバーから声を聞く限り、生産性は上がっているなと思う。1泊3000円の補助も、自分でもお金を出さないといけないぐらいの値段感ではある。旅行感覚ではなく、あくまでも自分の生産性を上げる仕事のためというのが会社からのメッセージ。従業員のパフォーマンスが上がる意味では費用対効果はいい」
花粉症による労働力低下の経済損失推計について、パナソニックが2020年に行った調査では、花粉の症状が原因で仕事のパフォーマンス低下を感じる時間は1日あたり平均2.8時間、その経済損失は1日あたり約2340億円に上ると試算される。
経済アナリストの森永康平氏は次のように話した。
「花粉症対策だけではない福利厚生の一環というか、社員のモチベーションが上がって、会社への忠誠心とかも上がるなら、トータルで見たら良いのではないか。企業は、顧客向けのサービスや商品のアイデアを出すだけではなく、社内に対してもどうやって効率を上げるのか、アイデアを出していく時代になったのだなと感じる」
(『ABEMAヒルズ』より)
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