【AFC U-23アジアカップ】U-23日本代表 1-0 U-23中国代表(日本時間4月16日/ジャシム・ビン・ハマド・スタジアム)
U-23中国代表を辛くも1-0で下したAFC U-23アジアカップ(パリ五輪最終予選)の初戦。ファン投票で決まるU-23日本代表の「Player of the Match」に選出されたのが、GK小久保玲央ブライアンだった。
ビッグセーブが際立った。この試合で小久保は相手の6つの枠内シュート全てをセーブ。データ会社『Opta』によると、2020年大会以降のU-23アジアカップで無失点に抑えたGKとしては、1試合最多セーブだった。とくに47分の1対1からのシュートを左足1本で防いだシーンは正真正銘のミラクルセーブだった。
そうした数々のセーブと同等に素晴らしかったのが、冷静な判断力と狡猾さに裏付けされた“ボールと時間の管理”だ。U-23日本代表は8分にMF松木玖生のダイレクトシュートで先制に成功したが、17分にDF西尾隆矢が報復エルボーの愚行を犯して一発レッドカード。窮地に立たされた。
22分、大岩剛監督はMF山本理仁を下げてDF木村誠二を投入。西尾が抜けた穴を埋める手立てを打った格好だが、その前に内野貴史を左SBから右SB、松木をインサイドハーフから左SBに回すなどの応急措置を施していたため、ピッチ上の配置を整理する必要性に迫られていた。サッカーではえてして、こんなやや混乱した場面で失点を喫したりするものだ。
しかし、小久保は冷静沈着かつ狡猾だった。木村投入の直後、U-23中国代表が最終ラインから蹴ったボールが長くなりトラップ。そのままゆっくりドリブルした後、寝そべってボールをキャッチ。しばらくすると立ち上がり、スローイングで試合を再開させた。
このちょうど20秒の間に、U-23日本代表はシステムや配置を確認できたうえ、さらに冷静さと集中力を保つことができた。あの場面で焦って前線にフィードして相手ボールになっていれば、ピッチ上が混乱したまま試合が続いていたはずだ。何気ないシーンではあったが、間違いなく小久保のビッグプレーだ。
その後も小久保は、ボールと時間をしっかり管理。数的不利という現実をしっかり受け止め、ボールをキャッチする度に寝そべって時計の針を進め、U-23中国代表をイラつかせた。U-23日本代表が勝利を掴み取るうえで、シュートセーブと同等の価値を持っていたはずだ。
こうしたルールぎりぎりの時間稼ぎは、やはり海外経験の賜物だろう。柏レイソルのアカデミーで育った小久保は、18歳だった2019年にベンフィカに移籍。長くポルトガルの名門で揉まれてきた(現在はベンフィカBに所属)。
UAE代表と戦う4月20日(日本時間0時30分キックオフ)の第2戦でも、小久保にはビッグセーブはもちろん冷静な判断力を存分に発揮してもらいたい。
(ABEMA de DAZN/AFC U-23アジアカップ)