クロアチアを舞台に熱戦が繰り広げられたWRC(世界ラリー選手権)のラウンド4は、攻略が難しいとされる路面上で、世界有数の超一流ドライバーたちが激しくも華麗なドライビングテクニックを披露し、話題を呼んだ。
世界最速のラリーカーたちは、ラウンド3が開催されたアフリカ大陸から、自動車発祥の地であるヨーロッパへ戻ってきた。舞台はクロアチア。首都ザグレブにほど近い、スロベニアとの国境付近をベースに、合計20のSS(スペシャル・ステージ)で競われた。
今年で4回目のWRC開催となるクロアチアだが、特徴は全区間がターマック(舗装路)であること。オールグラベル(未舗装路)だったサファリ・ラリーと比較しても、異なるベクトルで難しいと言われている。
というのも、コースは農道が多いため舗装状態が一定ではなく、道幅もかなり狭いから。また、タイムを縮めるため、あえてイン側の路肩にタイヤを落として走る“インカット走法”が多用されるため、マシンの走行ごとに土や砂利が路面に飛び散り、滑りやすくなるためだ。
しかし、競技初日デイ1で最長のSS6では、見事な“インカット走法”を見せた4台のマシンに注目が集まった。
まずは、現在ポイントランキングトップのティエリー・ヌービル(ヒョンデ)。結果的には、右フロントタイヤがパンクするアクシデントに見舞われてしまったものの、細やかなコーナーが連続するSS6を、巧みな挙動制御でスイスイと駆け抜ける。また、ライバルのエルフィン・エバンス(トヨタ)はインカットを駆使しつつもスムースな走りを見せた。
一方、ヒョンデのタナックは、荒ぶるマシンを押さえつけるような力強い走りを披露。前戦サファリで総合2位を獲得した勝田貴元(トヨタ)は、競技初日でまだ調子を上げながらという雰囲気だったが、安定感のあるスマートな走りで同SS 6位を獲得した。さらに勝田の僚友セバスチャン・オジエ(トヨタ)が、路肩にマシンをはみ出しながら豪快な走りで2番手タイムを記録している。
これら世界トップクラスのテクニックの数々に視聴者も思わず見入ってしまったようで、「インカット凄い」という率直な感想のほか、「溝落とし」と人気マンガに登場するテクニックの名をそのまま書き込んだようなコメントも見られた。
(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2024』/(C)WRC)