愛知県で運行を開始した『となりのトトロ』のネコバスが、盲導犬利用者を乗車拒否した。その理由として側面に囲いがなく犬が飛び出す危険性があるため、安全面を考慮したという。
運行会社はその後聞き取り調査をおこない、安全性に問題はないとして、利用者の判断で乗車できるように改めた。
「知らないことで生まれる勝手な思い込み」だが、盲導犬についてどこまで知っているだろうか。日本盲導犬協会の押野まゆさんは「せっかく盲導犬と歩けるようになって外出の機会が増えるはずなんですけど、盲導犬がいることで断られてしまうことはとても寂しい」と語った。
押野さんはこれまで15年にわたり盲導犬ユーザーとして生活してきた。盲導犬をめぐっては身体障害者補助犬法という法律により、公共交通機関や施設などを利用する際、それによる著しい損害などが発生する場合を除いて受け入れを拒んではならないと定められている。
しかし押野さんもこれまでに利用を断られるということを度々経験してきたという。「私の場合ほとんどは飲食店での拒否が多い」と振り返る押野さんは「盲導犬ユーザーになりたてのときに友人たちとファストフード店に行った。注文して会計したあとに『ちょっと犬は外に置いといてください』という風に言われてしまって」と自身の体験を語った。
さらには宿泊施設や病院などで断られることもあるそうで、押野さんは「ラブラドールレトリバーは体も大きいので、特別スペースが広くないといけないんじゃないかとか、受け入れ方の誤解からどうしてもそういった不安の声をいただくことはある」と明かした。しかし最近では理解が進み、その場で説明さえすれば解決することも多くなったという。
盲導犬と出会ったときにしてはならないことは、犬に対して「触らない」「声をかけない」「目をじっと見ない」「食べ物を与えない」で、押野さんは「犬の気を引くようなことはしないでいただきたいです」とコメント。
電車内や信号待ちをしている際、おとなしくしている盲導犬を見るとつい「いい子ですね」と声をかけたり、頭をなでてあげたくなるが、その行為はNG。理由について押野さんは「犬たちが伝えてくれる動きの一つひとつって、実は意味を持っているんです。ちょっとよそ見をされてしまっただけでも『あれ? ここに何かあるのかな?』とか、止まったら止まったで『ここに何かあるのかな?』って私たちはどうしてもそう感じます。なので犬たちの気を引くようなことはしないでいただきたい」と訴えた。
しかし「声をかけないで」はあくまで盲導犬に対してで、押野さんは「あれ? もしかして迷っているのかなとか、青信号だけど渡れてないのかな、といった場面を見かけたときには『盲導犬ユーザーさん手伝うことありますか?』みたいな形で、気軽に人に声を掛けてもらえたらとてもうれしいです」と明かした。
ただし声をかける際、1つだけ気をつけてほしいことがあるそう。押野さんは「声を掛けていただくときに、肩や背中をぽんって叩いてくださる方いらっしゃるんですけれども、いきなりそれをされると私たちびっくりしてしまう」と説明、また「お礼を言いたかったんですけど、お礼を言う前に立ち去られてしまって『お礼を言えなかった、残念だな……』ってなったりとか。なので『離れますね』っていうときも声を掛けてくれたほうが、私たちもちゃんとお礼を伝えたいなっていう気持ちを持っていますので」と思いを語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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