毎年ファンを楽しませるエンターテイナーが、今年は“将棋”に特化する?将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」は、今大会からより厳選された11人のリーダーがドラフト会議に出席、エントリーチームと合わせて計12チームで戦う。渡辺明九段(40)は例年、チームを構成する上でチーム動画などでのエンタメ性なども考慮しながら指名を考えていたが「正直手詰まりになってきました」と苦笑い。無冠になったこともあり、今年は「研究会みたいな感じでやろうかな」と、楽しみながらも自身を鍛え直す場とするプランを練り上げてきた。
昨年、チーム渡辺は初めての予選敗退。チームとしての交流期間もあっさり終わってしまい、不完全燃焼だった。「何かあまり乗り切れないまま終わってしまったところもあったし、やっぱり自分自身がリーダーとしても成績が悪くて引っ張れなかった。自分たちの大会は早く終わってしまって、消化不良のところはありましたね」と、もやもやしたものが残った。
例年はドラフト構想を「チーム動画で何を作るか」から考えるほど、エンタメ性を重視してきたが、いよいよ新手が見つからなくなってきた。すると選手の組み合わせに、趣味である競馬の仕組みで一案を投じた。「もう本当なんかガチャみたいに決めてくれた方がいいかな(笑)。競馬で世界のトップジョッキーが集まって規定のレースに乗るというシリーズがあるんです。騎乗馬を抽選で決めるんですよ。ちゃんと公平性があって、16頭いたら16頭をちゃんとランク分けして抽選する。だからこれも選ばれる側の棋士をABCDに分けて、Aポットから1人、Bポットから1人みたいな感じ。戦力均等になるようにガシャンって勝手に決めちゃってくれた方がいいぐらい」と、今後採用されそうなアイディアを展開した。
ドラフトの仕組み自体に思いが寄るのは、自チームの構想がなかなか浮かばないからだ。「今年はもうプランなくて、あまりエンタメ的に自分が楽しむというよりは、お金がもらえる研究会みたいなつもりでやろうかなみたいな(笑)。日々の研究とかそっちの一環にいい方向の影響を及ぼすような感じで、もうカチッてやろうかなと、ちょっと思っていますよ」。これまでがエンタメ全振りといえるほどだっただけに、このコメントは斬新に映る。
今年で40歳を迎え、タイトル無冠からのリスタート。思うところは当然ある。「今年やっぱりまた1からスタートみたいな位置づけではあるので、そういう意味で今年はなんか将棋へのモチベーションも高いし、カチカチッてやろうかな」。深い研究を積み重ね“現役最強”と呼ばれたこともある渡辺九段。むしろ将棋指しとしては本当の素顔が、今年の大会では見られるかもしれない。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)