北朝鮮の拉致被害者の家族以外にも我が子の帰りを待つ家族がいる。北朝鮮による拉致の可能性を排除できない「特定失踪者」は全国に少なくとも871人存在する。
特定失踪者問題調査会は2005年から北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」を開始。特定失踪者問題調査会の村尾建兒幹事長はラジオを制作している東京にあるスタジオを紹介し「北朝鮮向けラジオ放送を制作している場所で、我が国の電波を使って北朝鮮まで届く電波を使ってる」「北朝鮮というのはネット網がまったく発展していない。使える人はものすごく限定されている。その中で何をするか。唯一日常的なところにあるのがラジオ」と説明した。
最初の放送は横田めぐみさんの母、早紀江さんが娘に初めて送ったメッセージだった。しかしラジオ放送から半年経ったころ、異変が起きたという。村尾氏は「我々の放送に対して2006年から現在に至るまで、北朝鮮はものすごい妨害をかけてくる。それは放送を聞こえないようにするため」と説明。実際の放送を聞いてみると大きなノイズ音が放送を妨害していた。
「そのボリュームが段々上がってきて、まったく今は聞こえない」と語る村尾氏は「この妨害電波がどこから出ているか総務省がキャッチしている。地図上でいうと北朝鮮の首都の平壌付近から出ている」と語り「向こうが必至の妨害をかけてくるということは、やはり(北朝鮮の)内部にはあまり聞かれては困る人間がたくさんいるということ」と、妨害しなければならない理由が北朝鮮側にはあると推測した。
新潟県佐渡市出身の曽我ひとみさんよる、ともに拉致されいまも北朝鮮にいる母親に向けたメッセージや、特定失踪者である鳥取県の矢倉富康さんに向けた、父親の涙ながらの呼びかけも放送されたという。矢倉さんの父親はすでに他界しているが、その後もメッセージを放送し続けていると語る村尾氏は「家族に対するメッセージって、もし自分の家族じゃなくても『こういう気持ちでうちの親も探してくれるんだな』という、絶対そう思ってくれるはず。勇気と希望を持つためにぜひ聞いて欲しい」と願った。
特定失踪者問題調査会の荒木和博代表は妨害電波への対策について「周波数をいくつか確保、これは総務省にやってもらって、周波数を変えて妨害電波をよける。やっていたんですけど、今度は妨害電波を向こうが合わせて来る。その次は2つ一緒に、別の周波数で出せば、少なくとも片方にはかけないだろうと思ったらば、場合によっては両方にかけてくる」と、いたちごっこであると説明。
「北朝鮮は本当に電気がない国で、停電じゃなくて『ときどき通電する』という国。その国で妨害電波を出すためにものすごい電力を使うので。そこまでしなきゃいけないというのはやっぱり、それなりの効果があるということ」と、聞かれては困るからだと推測した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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