丁寧に描いていた油絵に子どもがまさかのイタズラ。苦労を台無しにするようなハプニングが思わぬ作品を生み出したとSNSで話題だ。
【映像】赤いハート、笑顔がくっきり…“イタズラ完了後”の作品
大自然の風景を描いた1枚の油絵。すると、その絵を子どもたちが覗きにきた。
この微笑ましい様子を見ていたのがベルギーで油絵の研究をしている、金沢美術工芸大学の桜井旭さんだ。
「2〜3時間ぐらい描いた辺りで全体を確認するために一旦距離を取って『これくらいでいいかな』と落ち着いていた。そんな時に気づいたら周りで遊んでた子どもや犬がそこに立っていて、何か道具をカチャカチャしていたので、『道具に興味あるのかな?』と思って写真を撮った」
しかし次の瞬間、桜井さんは信じられない光景を目の当たりにした。筆を手にした子どもが桜井さんの製作途中の作品に落書き。しかも、緑の景色に真っ赤な絵の具で。
「『おっ、すごい描いてる』と思って。パレットに赤を自分で大量に出して赤を塗りだして」
さらに、目の前の景色とは無関係なハートまで…。2時間以上かけた製作途中の作品に思わぬ手を加えられた桜井さん。どんな心境だったのか?
「今回は完成したものを展示するというより、作る過程がメインなので“そこで起こる何か”には僕自身も期待していたので、むしろ面白かった。こういう体験はなかなかできないと思うので、こういうエラーみたいなものを起こしてくれたことにむしろ感謝している」
実はこの日、桜井さんが参加していたのが観客の前で作品を製作するライブペインティングのイベント。ハプニングもその一部と捉え、驚きつつも見守っていたというのが当時の状況だったようだ。
そんな背景もあり、この絵を見た人からは好意的な反応が寄せられている。
「綺麗な風景画に子供の遊び心。なんか素敵」「これはこれで唯一無二の作品」(SNSの声)
日本の美大生とベルギーの子どもによる異色のコラボ作品。この夏、日本で見られる機会があるという。
「実はまだ明日も続きを描こうかなと思っていて。あのままで残すべきか、その上から子どもたちから受け取って何か影響されてタッチを加えていくのかどうか悩み中なので、明日また現場で考えようかなと。(この作品は)金沢での7月からの展覧会に持っていく予定だ」
桜井さんの“作品”について、俳優/サイエンスコミュニケーターの佐伯恵太氏は「すごい微笑ましいイラストで、自分自身もハプニングを割と好意的に捉えるタイプだ」とした上で注意を促した。
「美大生や芸術家にとって作品は極めて重要で、(完成度の高さを目指すような作品の場合は)落書きによって“お先真っ暗”になってしまうことがある。時と場合にもよるが、やはり周囲の親などが子どもたちに対して『普段はしちゃいけない』などとしっかり後でフォローする必要がある。とはいえ、社会全体で過度になんでもしちゃいけないとか、子どものしたことを糾弾するのではなく、バランスをとるべきだ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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