為替介入の質問にいつも「ノーコメント」の財務省・神田眞人財務官の意外な素顔に迫った。
円安ドル高が進み、日本の物価高への影響が懸念されている。多くの貿易はドル建てのため、円安では輸出がもうかる一方、輸入はこれまでと比べて損をする。そんな中、政府や日本銀行による為替介入に“警戒感”が高まっている。
為替介入とはなにか。ニュース検定1級に最年少で合格した、中学3年生の松木孝太朗さんは、「行きすぎた円安・円高に対して、円売りドル買いや、円買いドル売りを行い、為替市場に財務省や日銀が介入すること」と説明する。
一連のニュースでは、松木さんが注目している人物がいる。「黒田東彦氏のように、ゆくゆくは日銀総裁になる可能性もある」と見ているその人物は、財務省の神田眞人財務官だ。テレビ朝日経済部の佐藤美妃記者は「さまざまな国際金融政策を担当する、為替政策の責任者。鈴木俊一財務大臣とコミュニケーションをとった上で、政府日銀による為替介入を決めている」と説明する。
神田氏はこれまで、「過度な変動に対してはあらゆる手段を排除せず、適切な行動をとっていきたい」としつつ、その手段に為替介入が含まれるか問われると、「それについては申さないが『あらゆる手段』だ」と示唆していた。これは「口先介入」と呼ばれ、実際に為替介入を行わなくても、市場は発言に反応する。
そして2024年4月末、1ドル160円突破とともに、為替介入と思われる形で、円安が反転した。しかし神田氏は「介入の有無について申し上げることはない」とコメント。この発言の意図として、佐藤記者は「介入したかを明らかにしない方がスタンダード。一番困るのは取材に応じないことだが、神田氏は『コメントしない』とコメントしてくれる」とした。専業トレーディング歴10年のFXトレーダー・ジュン氏も「神田氏の発言はすごく気にしている」と語る。
“令和のミスター円”とも呼ばれる神田氏は、どんな人物なのか。1965年兵庫県出身で、灘中高から東大法学部へ進み、国際政治学者・舛添要一氏のゼミで学ぶ。1987年に大蔵省(当時)へ入り、オックスフォード大学に留学して経済学大学院を修了。2021年からは国際業務を担当する次官級ポストの「財務官」を務めている。かつて“ミスター円”と呼ばれた榊原英資氏や、黒田氏も務めたポストだ。
エリートコースを歩んできたが、その横顔には親しみもある。佐藤記者は「聞いてもいないのに『20億円抜かれて気づかないなんて、大谷翔平選手、スケールが違うよね』といった話をしてくれる。怖い人という印象は全然なく、むしろ人懐っこさもあり、ちょっと失礼かもしれないがチャーミングな方」。一方で「いつも忙しそうで、いつ休んでいるのか。“寝てない説”が財務省内で流れるくらいスーパーマンのような働きをしている」ともいう。
舛添氏は、自身のゼミについて「優秀じゃないと落ちる。英語の本だと1冊、日本語だと5〜6冊、毎週読ませていた。脱落するゼミ生がほとんどの中、神田くんだけでなく皆優秀だった」と振り返る。神田氏個人については「ひょうきんなところがあり、同窓会でも分け隔てなく冗談を言って、居ると明るくなる」と語る。
その上で舛添氏は、為替介入の有無を明かさない理由を解説する。「基本的に市場に任せて、手の内も示してはいけない。為替レートの変動を見ると“やった”と思うが、『いつ何をやるかわからない』がけん制球になり、過度な円安を防止する」。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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