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【映像】「大丈夫?」→「大丈夫です!」の心理とは?
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 入社して1カ月あまりが経った新入社員が直面する様々な困りごと。解決するにはどうすればよいのか? 専門家に話を聞いた。

【映像】「大丈夫?」→「大丈夫です!」の心理とは?

 「知らないことが多すぎて、困ってます」「思ったより休みが少ない」(新入社員)

 4月に入社した新入社員は、この1カ月でさまざまな困りごとに直面している。

 職場のカウンセリングや組織心理学が専門の順天堂大学・道谷里英先任准教授は最初に新入社員が直面するのは、「何が分からないか分からない状態」だと言う。

 「職場で専門用語や略語が多く使われていると新入社員は何のことかわからない。また、職場の人たちに紹介されても新人は周りにどんな人がいるかまだわからない」

 さらには、困りごとに対して特に苦しく感じてしまう人には特徴があるという。

 「そもそも助けてもらうことを申し訳ないと思ってしまったり、昔からそういうことに苦手意識がある方がいる。周囲に頼らず自分でやってきたような方だ。自立していることは良いことだが、自分でやろうという思いが強すぎるあまり聞けなくなってしまう。『質問したり、相談したりすると相手の時間を取ってしまい、相手に迷惑をかけるんじゃないか』と考えすぎてしまって相談ができず、聞けない」

 上司にも新入社員時代の記憶があるものの、新入社員は上司の言葉や対応に戸惑っているのだ。

 「自分たちが新人に期待していることと、新人の側が周りに期待していることのずれが最初は大きい。学校を出たばかりであるため“甘やかす”のではなく“徐々に育っていくもの”という感覚はぜひ周りの方も持っていただきたい」

 新入社員の中には上司や会社の協力があって、困りごとを乗り越えられているという声もあった。

 「(新入社員の時を振り返って)研修が終わって肩に力を入ってる状態だったが、上司に1年目のペーペーだということで優しく質問に答えてもらった」(入社2年目)

 「(会社に)メンター制度があって、新入社員一人につき先輩社員一人がついていて、何気ないことも相談できる」(新入社員)

 上司と新入社員のやりとりによくあるのが、「大丈夫?」と聞くと「大丈夫です!」しか返ってこないこと。これは反射的に答えてしまうことが多いためで、具体的に聞くことが必要だと道谷先任准教授は話す。

 「助けてもらったりわからないことを聞くことは、ある意味自分の弱い部分を見せ、できない自分をさらすことになる。雑談や些細な話が日常的にできる“普通の人間関係”ができてやっと次のステップとして『これがわからない』『実はここができてなくて』と言えるのだ。例えば、あらかじめ『毎朝30分は面談タイム・相談タイムにしよう』などと設定しておくと話しやすくなるはずだ」

 道谷先任准教授によると、新人が悩んでいることそのものから職場の問題解決のヒントが見えるなど、会社側にもメリットがあるという。

 新入社員のなかには人に頼らず、できる限り自分でやろうとして失敗してしまう人がいる。そんな人に対して道谷先任准教授は「組織心理学では“組織社会化”と言われるが、組織の中に馴染んで一人前になっていくプロセスがある。その中では失敗が当たり前なので、できるだけ早くたくさん失敗をして、どのタイミングで相談しないとうまくいかなくなるのか学び、自分なりの仕事のやり方を掴んでいけばいい」と説明した。

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 新入社員の困りごとについて、ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介氏は「就活の時は『私はなんでもできます』と盛り気味に自己アピールをしてきた人が、入社した途端に『弱さをさらけ出して、できないことも正直に言ってください』と言われても、戸惑ってしまう部分はあるのではないか」と理解を示した。

 さらに神庭氏は「サントリーにはTOOという肩書きがある」と紹介。
 
 「これは『隣のお節介おじさん・おばさん』の略だ。これは役職勇退後のベテラン社員が新卒など若手社員らの悩み相談にのる制度。やはり、直属の上司など利害関係がある間柄だと正直に打ち明けられないこともあるので、非常にいい取り組みだと思う」

 一方で神庭氏は「SOSを出す側にもスキルが求められる」と指摘した。

 「こういう話になると『聞く側が軽聴しましょう。1on1でしっかり話を聞きましょう』というのが定番だが、SOSを出す側にも最低限のスキルは求められる。まず、相談する相手はある程度選んだ方がいい。若手の相談に乗るのは、上司にとって『ぶっちゃけ快楽』みたいな側面もある。“クソバイス”ばかりしてくるハズレ上司につかまらないように気をつけて。最初のうちは、いい上司を引くまで相談ガチャを回す必要もあるだろう」

 「加えて、『自分が何を求めているのか』も明確にするべきだ。孤独が辛いのか、悩みを吐き出してスッキリしたいのか、具体的な解決策を求めているのか、あるいは8割方やりたいことは決まっていて、最後に背中を押してほしいだけなのか。この辺りをハッキリさせておくだけで、相談にのる側も対応しやすくなる」

 相談にのる側に注意点はないのだろうか?

 神庭氏は「実は『忙しそうな上司』と思われることは必ずしもいいことではない。若手に『お忙しいところすいません』と言われているということは、『あの人は忙しそうで話しかけづらいな』と思わせてしまっている可能性がある。完全に自戒を込めてだが、実際には余裕がなくとも“余裕を醸し出すオーラ”を身につける必要があるのかもしれない」と指摘した。
(『ABEMAヒルズ』より)

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