顔立ち、立ち居振る舞いも爽やかなら、詰み手順まで爽やかで芸術的だった。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Bリーグ第1試合、チーム菅井 対 チーム斎藤の模様が5月18日に放送された。チーム斎藤がスコア4-1とリードして迎えた第6局は斎藤慎太郎八段(31)が登場。佐藤康光九段(54)を下してチーム勝利を決めた。激しい終盤戦になったが、最後に斎藤八段が佐藤玉を即詰みに討ち取った手順が絶品。仲間からは「これはすごいわ」「芸術的すぎない!?」と驚きの声が飛び交った。
斎藤八段は2018年度の王座のタイトルを獲得。以降も各棋戦の上位で活躍を続ける名棋士の一人だ。整ったルックスと穏やかな立ち居振る舞いから女性ファンも多く、長く「西のプリンス」と呼ばれ続けている。今回、チーム斎藤は高見泰地七段(30)、三枚堂達也七段(30)と1993年生まれの同学年3人組。この中でも斎藤八段は出世頭、同学年の星といったような存在だ。
チームワーク抜群の3人は第1局から好調。一気に4連勝しスコア4-0とチーム勝利に王手をかけると、第5局こそ落としたものの、流れは渡さないとばかりに第6局はリーダー斎藤八段が自ら登場した。
対戦相手は、序盤から独創的な指し回しをすることでも知られる佐藤九段。角交換からダイレクト向かい飛車と、佐藤九段が得意とする戦法になると、斎藤八段も工夫を入れて応戦。慌てることなく序盤、中盤と指し進めると、奇をてらうことなく王道の指し回しで徐々にリードを広げていった。
最終盤、逆転にかける佐藤九段が追いすがるところ、斎藤八段がスパッと斬り捨てた。ややもつれかけたところ「詰将棋解答選手権」でも優秀な成績を収めてきた終盤力をここで発揮。詰み筋が見えると、残り10秒前後の持ち時間でもスッと手を進めていき113手で快勝した。
控室にいた高見七段、三枚堂七段が感服したのは、その詰み手順だ。高見七段が「これはすごいわ、斎藤君。本当にうまい」、続けて三枚堂七段が「芸術的すぎない!?」と驚いたが、これは5筋から1筋に向かって逃げていく佐藤玉に対して、最後に自陣の6筋にいる飛車を一気に1筋に回る▲1八飛で詰みとなるから。高見七段は改めて「我々も感心しきりだわ。いやー、すごい。さすが同い年の星ですね」とベタ褒めすると、視聴者からも「完全に見切ってたな」「さいたろうやっぱり強い」「詰将棋強いな」と絶賛されていた。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)