配偶者に不倫や浮気をされた妻、通称「サレ妻」。SNS上には怒りや愚痴が吐き出される一方、時に復讐に至るケースもある。サレ妻の離婚復讐劇を描いた漫画『チンカルボー』は、原作者amさんの実体験が元になっている。不倫相手と一緒にいる夫にわざと“鬼電”して言いづらいことを言わせようとしたり、不倫相手のスッピン顔を見せたり、自宅に不倫相手を泊めて不貞行為を証拠として撮影したり……。amさんは「復讐が思い通りに進んだ時は、2人を操っているような感覚と、ざまあみろという気持ちだった」と振り返る。
「夫と不倫相手の生々しいLINEのやりとりをSNS上で晒した」と語るのは、30代のマロンさん。不倫相手の「3大欲求満たさないと満足できない」といった発言について、「人の夫に普通に言える異常なところを、誰かにわかってほしい気持ちがあった」と語る。
しかし、“晒し行為”にはリスクもある。先日も、あるサレ妻がSNS上に不倫相手の顔写真や個人情報などを晒し、賛否両論が上がった。パートナーの不倫が発覚した時、どこまでなら復讐が許されるのか。『ABEMA Prime』で考えた。
■不倫相手女性との“やりとり音声”公開 「向こうが強気で…」
30代のむぎさんは、夫に不倫されたサレ妻で、仕返しに復讐を実行している。ある時から、飲み会の増加や香水をつける、髪を染めるなどの変化が夫に見られるようになり、探偵に調査を依頼したところ、夫が女性とラブホテルから出てきたことが判明した。不倫相手は、仕事で知り合った女性とわかり、住居や勤め先も調べたという。
そこから復讐に動き出したが、「日本の決まりで、慰謝料が両方から取れない」こともあり、当初は「謝罪があれば慰謝料はいらない」と考えていた。「不倫相手の職場に1人で行き、謝罪を求めたが、『不倫に至った経緯がある』と、私が悪いような言われ方をされたため、裁判で慰謝料を請求すると決めた。その後、録音データをSNSにアップした」。
SNSに投稿した経緯については、「向こうが強気で『絶対に謝らない。私は悪くない』と言っているように聞こえ、気持ちを整理するために文字起こしをした。するとおかしいなと感じたので、SNSユーザーの意見を聞いて、私が正しいと思いたくなった」と説明。もし謝罪があれば「音声を晒すことはなかった」そうだ。
SNSでの反応は、相手を擁護する人はいなかったものの、「復讐ばかりして、時間を無駄にしていないか」といったコメントはきたという。「知り合いに話が広がり、『不倫された私が悪い』となってしまうと、私のはけ口の先はSNSになる。そうしないとやりきれない気持ちがある」。
今後について、「夫婦の問題で、子どもが父親を失ってしまうのは申し訳ない。私たちだけで解決できるならしよう」と考えていたそうだが、「相手の望むことはしたくないし、再構築は考えていない。判決が出て慰謝料がもらえれば、法律上でも『この人が悪い』と認められるため、復讐を果たせたと言える」と明かした。
■「“お金払ったらあなたの旦那くれますか?”って言う不倫女性も」 とはいえやりすぎには刑事罰のリスク?
夫婦問題専門カウンセラーで、自身も過去にサレ妻だった河村陽子氏は、「不倫は年々増えていて、サレ妻から『復讐したい』『私も浮気していいか』などと聞かれることが多々ある」と語る。不倫相手の自宅への訪問や、勤務先への報告なども相談されるが、「感情論で語ってしまうが、自分の立場が悪くなるからダメだと返す。またむぎさんの相手のように、強気な女性が令和に入って増えてきたと感じる」との見方を示す。
復讐には刑事罰のリスクもある。ネット掲示板やSNSなどに「○○さんは不倫している」といった投稿を行ったり、相手の職場へ嫌がらせの電話や怪文書を送ったりするケースが考えられるが、丸の内ソレイユ法律事務所の中里妃沙子弁護士は、「本人とわかるような情報で、社会的な評価を下げることをSNSなどにアップすると、名誉棄損で訴えられる可能性が高い」と解説する。
河村氏は「法律に触れることをすると、こちらの立場が悪くなる。言葉は悪いが『夫が命を落とさない程度』であれば、許せるのではと思う。しかし、それを続けると、『悪いことをしている』と、自分に対して罪悪感がわいてくる」との見解を示した。
サレ妻の対極には“サレ夫”も存在するが、SNSなどで見る機会は少ない。その理由として「女性は自分の悩みや悔しさ、怒りを共有したい。横につながりを広げて、『私は正しい』と感じることで心が軽くなる。男性はSNS発信よりも、弁護士相談などを選ぶ。自分の気持ちの置き所がわからなくなる人が多い」とする。
その上で、日本における不倫の価値観は「甘い」と指摘した。「『お金を払ったらあなたの旦那をくれますか?』と平然と言う不倫女性はいる。150万円、200万円と払える額を提示するが、払えない額にすればいいのではないか」。(『ABEMA Prime』より)
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