19日、イラン北西部東アゼルバイジャン州でヘリが墜落し、イランのライシ大統領、アブドラヒアン外相ら搭乗者8人が死亡した。悪天候が事故の原因と見られており、ロイター通信によるとイスラエル政府当局者は関与を否定している。
死亡したライシ大統領は反米保守強硬派。イスラエルへの初めての攻撃を主導した人物であり、核開発疑惑でアメリカとも対立していた。
大統領死亡の国内外への影響について、中東地域の国際関係が専門の慶応義塾大学教授の田中浩一郎氏に話を聞いた。
━━イラン国内への影響は?
「実はライシ大統領は大統領としての業績はあまりなかったため、後任者による代替は可能である。しかし、ライシ氏は最高指導者ハメネイ師(85)の後継者として有力視されており、周囲も彼をお膳立てするような動きを10年あまり続けてきた。そのため、新たな後継者を見つけ出す時間的余裕があるかという点については問われるだろう。大統領の後任は6月28日に予定されている選挙で決まるが、大統領=最高指導者ハメネイ師の後任ではないのだ」
━━大統領死亡は中東問題の新たな亀裂となるのか?
「先のイスラエルとの間の交戦などを見ても、イランは外敵から不安定が及ぶようなことを極力避けるために抑制的な対応を続けてきていた。その状況は今後ますます強くなったと言えるため、国内の後継体制固めの方を率先して行わなければいけない点で、波乱要因はあるが少なくともイランが自ら行動を起こす危険性は少ないだろう」
━━ICC(国際刑事裁判所)がイスラエルのネタニヤフ首相やハマス指導者ら5人の逮捕状を請求したことに対し、ネタニヤフ首相は「ユダヤ人を大量虐殺したハマスとイスラエルの首相を同一視している」と強く反発し、アメリカのバイデン大統領もICCを批判している。この点をどう見るか?
「私はICCは粛々と自身の業務を行っていると受け止めている。一方で、ネタニヤフ首相は10月7日の攻撃が起きた後に『ハマスはイスラム国と同じ』と非難したため、ICCにハマスとイスラエルが同列だと言われてしまうと、イスラエルもイスラム国と同じだと捉えられかねないため、強く反発したのだろう」
━━イスラエルとパレスチナの二国問題はどのように着地するのか?
「パレスチナとイスラエルの共存が理想である。しかし、そのためにはパレスチナの占領を終結させることが不可欠であり、現状のままでは対等な交渉は不可能だ。にもかかわらず、誰もそれに手をつけない。イスラエルの占領をやめさせようという努力、あるいは圧力や政治対話を行っていないことに根源的な問題がある」
━━アメリカの影響力は大きいのか?
「イスラエルに最も影響力を及ぼせるのはアメリカであるが、イスラエルもアメリカに影響を及ぼす力があり、それがイスラエルの行動抑制を困難にしている」
━━今回のICCのような動き、そして欧州などのパレスチナを国家として承認するような動きは影響を及ぼすのか?
「即効性はないが、圧力や孤立化を促すことで、政策判断の変更を迫る環境を作り出す可能性がある。だが、最終的にはイスラエルとアメリカの判断に委ねられる」
(『ABEMAヒルズ』より)
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