大阪府熊取町で吉川友梨さん(当時9歳、小学4年生)が、下校途中に行方不明となった事件から21年が経ち、大阪府警が30歳になった友梨さんの推定似顔絵を公開した。
【映像】友梨さん「当時9歳の写真」と「30歳の推定似顔絵」(比較)
事件を風化させてはならないと大阪県警が作成を依頼したのは、群馬県警の「似顔絵捜査の達人」だった。ABEMA的ニュースショーでは、似顔絵捜査を40年以上行い、全国で2人のみの似顔絵分野における広域技能指導官のひとりである、群馬県警科学捜査研究所の緑川順氏(65)を直撃した。
「友梨さんの小さい頃から失踪直前、そして両親の写真から所見をとって、どの程度成長するのかを推測する。可能性があるならば、やらないわけにはいかない」(群馬県警 科学捜査研究所・緑川順氏)
2023年4月に依頼され、完成には1年を要した。頭蓋骨の骨格から顔立ちを再現する「復顔法」には、粘土などで顔を造形する場合もあるが、緑川氏はさまざまな知見を元に描く。
「捜査の似顔絵は目撃者だよりで、印象に左右されてしまうが、復顔法は頭蓋骨ベースで推定する。変わらない部分を把握することが必要。脳頭蓋(のうとうがい)が最初に大きくなり、10歳までには成人の約96%になる。目と目の距離も5歳くらいで51~52ミリ、成人女性と8~9ミリ程度しか変わらない」(緑川氏)
復顔法では、頭蓋骨や左右の目の位置は動かさず、頭蓋骨に見合った筋肉や皮膚の厚さを考えて、輪郭を推定する。約100項目におよぶ顔の特徴を分析し、1人の復顔に約3カ月~1年かかる。緑川氏いわく、「耳は年齢が上がっても変わらない。狭い範囲に複雑な形が入り、個人で違いが出る。耳の形を見れば、個人識別も可能」だそうだ。
緑川氏は1977年に群馬県警の警察官となり、5年ほどの交番勤務を経て、絵の才能を買われて鑑識課へ。群馬大学医学部へ通って輪郭や骨格を研究し、イギリス留学で復顔法を学んだ。これまで描いてきた推定似顔絵は170枚以上だ。
県内で発生した誘拐事件の似顔絵も手がけた。1996年に群馬県太田市のパチンコ店で、横山ゆかりさん(当時4歳)が行方不明になった事件で、緑川氏は20歳になったゆかりさんの推定似顔絵を描いた。なお、この事件は、いまも未解決だ。
「文章や現場映像だけだと、関心度は低い。似顔絵を作ったことによって、事件に目を向けてもらい、捜査情報量が増えて発見された人もいる」(緑川氏)
吉川友梨さんについての情報提供は、大阪・泉佐野警察署(072-464-1234、yuri@police.pref.osaka.jp)まで。横山ゆかりさんも同様に捜査本部(0120-889-324)まで。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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