ゼロが11個印刷されているのは、かつてジンバブエで使われていた「1000億ジンバブエドル紙幣」。日本円に換算するとわずか0.0003円と“ほぼ紙切れ”だ。
ジンバブエ共和国はアフリカの南東に位置し、人工は1632万人。主な産業はタバコや綿花の農産業と希少金属をはじめとする鉄鉱石、ダイヤモンドも世界有数の埋蔵量を誇るが、ジンバブエの名を世界に知らしめたのはハイパーインフレ。ムガベ前大統領の政策の失敗に起因するものだという。
2007年から2009年の当時のジンバブエの物価は「たまご3個1000億」「週刊誌1冊4000億」「青菜1束3兆」「コーラ1本6兆」といった驚きの価格だったという。
そもそもインフレとは物価が上昇し相対的にお金の価値が下がること。テレビ朝日外報部デスクの中丸徹氏は日本経済について「戦後インフレ」「平成デフレ」の流れがあったと解説して、今後については「基本的には経済力はいまでもしっかりあるので、日本の円は信用されているしハイパーインフレになるとは思わない」とコメントした。
かつての円の信頼について「たとえば株がドーンと下がったり、ニューヨークにテロが起きてアメリカ同時多発テロが起きたときなど、なにか不安なことが世の中に起きると『とりあえず安心できて信頼できる円に変えておこう』ということで世界中の人が円を買って円高になるというのが起きていた。つまりそれだけ世界が不安なときでも『円は大丈夫だろう』と買われるぐらいだった。円はまさにジンバブエドルと真逆で信頼されているからこそ、円が買われるということがあった」と解説。
しかし現状について「ウクライナ侵攻や、最近では株が落ちたときに円が売られて円安になっている。『安心だから円を買う』ということが成り立たなくなっているところが心配。円の信頼が落ちたとまでは言わないが、いままでほどではなくなってきたかもしれない」と懸念点を語った。
その原因については「一番は貿易赤字。昔の日本は輸入よりも輸出が多くて世界中から貿易でお金を儲けていたが、最近では買うものが高くて売るものが少ない。ということになっていくと基本的に日本から外にお金が流れていく、出て行く状態」と解説して、対策については「ビジネスだったり日本の国の力、競争力をつけて円を世界中から稼ぐことで『円は大丈夫なんだ』となるしかない」と提言した。
中丸氏は補足として「貿易は赤字だが、全部コミコミの経常収支というのがあり、これは大黒字なんです。去年も過去最高に黒字だった。20兆円ぐらい黒字で、これは日本がいままで世界から貿易で稼いだお金でアメリカの会社を買ったりアメリカの債権を買ったり、世界中に投資をしている“あがり”があるので、その黒字。それはたとえばドルとかユーロであがって来るのであまり円に変えない」と説明して「日本が『儲けられない国』にはなっていないということは強調しておきたい」と締めくくった。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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