今年4月、東京の市ヶ谷にオープンしたブックカフェが話題になっている。本だけでなく、人とのマッチングもしてくれるという。
「ここはチャイをお出ししている選書専門のブックカフェだ」
「チャイと選書 Chapters bookstore(チャプターズブックストア)」。選書とカフェという珍しい組み合わせだが、まずは選書のサービスを体験。
店主の森本萌乃さんから今の気持ちや好きなジャンルなどを伝えると5冊の本を選んでくれた。一冊一冊について概要や印象的な描写など、本の面白さが伝わる熱弁ですぐに読みたい気分に。
気に入った本があればその場で購入することも、選んだ本を片手にお店自慢のチャイをゆっくりと楽しむことも、本の写真を撮ってそのまま店を後にすることも可能だ。
さらに、直接対話をして選んでくれるパーソナル選書の他にLINEを使った選書サービスも行っている。しかし、様々なエンタメが溢れるこの時代になぜ選書をメインとしたカフェを作ったのか?
「ブックカフェは最近増えているが『自分で本を手に取れないブックカフェ、しかも選書専門』というのはユニークだろうと。人におすすめしてもらった本は特別なもので、読む前から高揚感がある」(森本さん、以下同)
人からおすすめしてもらう特別感。それを味わってもらうため、カウンターの向こう側に本棚を作った。
「このお店で本がすごく売れるので自信がついた。『買わなくていい』と伝えているがこちらで選んだ5冊の本を丸ごと持って帰る方が8割ほどいる。きっと本を読まなくなったのではなく、本の選び方がわからないだけなのでは。だから頭をからっぽにして来てほしい」
本と人をつなげる以外にこんなサービスも。
「選書とマッチングが一緒になったサービスもある。同じ季節に同じ本を読んだ方同士がオンラインのビデオチャットで出会えるサービスだ」
Chapters bookstoreは、おすすめされた本の中から自身が選んだ1冊が郵送で届き、利用者の中から同じ本を選んだ人を紹介してもらい、オンラインで出会うことができるというもの。
このマッチングサービスを作ったのは森本さんの実体験がきっかけになっているという。
「私も20代の頃、全然出会えなかったのでマッチングアプリを使っていたが、私は『出会うという目的よりも出会い方を重視するんだ』と気がついた。そして、本をきっかけに出会えたらいいのでは、とひらめいた」
2021年のサービス開始から反響を呼び3年間で延べ6000人が登録、月に1、2組のカップル成立報告が届くという。
さらに、このカフェではリアルな出会いの場も提供。本について話しながら交流を深めるイベントで、毎月30人の枠におよそ100人が応募するという大人気イベントだ。
「この店をオープンした一番の目的はリアルイベントの定期開催。『本好きで話しましょう』と男女半々で集まって、席替えは運営がして、トークテーマも用意されて、連絡先交換の時間もある。お客様には『あら、いい人いたわ』と思ってほしい」
ちなみに、発案者の森本さんに素敵な出会いはあったのか?
「元々自分の出会いのためにChapters bookstoreを作ったが、やはり『運営の方ですか?』と言われてしまい、私自身も気になってしまった」
自分の出会いより、人の出会いを優先している森本さん。最後にこのカフェをどのような場所にしていきたいか聞いてみると…
「カフェは作業の場所だったり、時間潰しなどさまざまな目的があるが、うちの店には“何か”にちょっと期待して来てほしい。その期待は本との出会いでもいいし、人との出会いでもいい。『何かいいことないかな』という時に思い出してもらえるような場所になりたい」
Chaptersについて文筆家の伊藤亜和氏は「本はきっかけとしてすごくいい。ただ、私にとって本とはその人の人格にすごく関わるものなので、『この本を好きということはこういう発言をしたら怒るのでは?』『共通で好きな本に出てくるミステリアスな女性に寄せなきゃいけないのでは?』などと考えてしまうかも」と感想を語った。
(『ABEMAヒルズ』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側