将棋の第9期叡王戦五番勝負第4局が5月31日、千葉県柏市の「柏の葉カンファレンスセンター」で行われ、藤井聡太叡王(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、21)が挑戦者の伊藤匠七段(21)に勝利した。シリーズ成績を2勝2敗とし、勝負を振り出しに戻した。防衛が奪取か――。大注目の最終局は6月20日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で争われる。
藤井叡王が大勝負を制し、防衛4連覇への望みをつないだ。タイトル戦負けなしの藤井叡王が、初めて先にカド番に追い込まれて迎えた第4局。注目の一戦は、本局でも互いに得意の角換わりが志向された。午前中はトップスピードで指し進められ、あっという間に勝負所へと突入。後手の藤井叡王は右玉を選択すると、端歩の折衝から先手の穴熊へと猛攻を開始した。中盤戦では、難解な展開ながら藤井叡王がペースを握り、緩急自在の指し回しで伊藤七段を突き放していった。
伊藤七段にとっては我慢の時間が続いたものの、簡単には譲れない。苦しい中でチャンスを待っていたが、藤井叡王は軽快に桂馬を跳ね先手玉へプレッシャーをかけてリードを拡大。伊藤七段に粘りを許さず、一気に押し切って後手陣を封じ込める圧巻の勝利を飾った。
勝利した藤井叡王は、「自分にとっては大きな一局なので、全力を尽くしたいと思っていた。ひとまず最終局に持ち込めたのは良かったですが、次も大きな一局になるのでそちらに向けてしっかり状態を整えていきたい。最終局は振り駒になるので幅広く考えていきたい」とコメントした。
藤井叡王の勝利により、シリーズ成績は互いに2勝2敗のタイスコアに。藤井叡王にとっては、自身2度目となるフルセットでタイトルを争うこととなった。しかし、6月6日にはヒューリック杯棋聖戦五番勝負の開幕が控えており、ダブルタイトル戦のハードスケジュールも待ち構えている。タイプの異なる挑戦者を相手に、藤井叡王がどのような戦いを見せてくれるのか注目したい。
注目の叡王戦最終局は6月20日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」が舞台に。藤井叡王の防衛4連覇か、伊藤七段の初タイトルか――。どんなクライマックスを迎えるのか、全ファンの期待が高まる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)