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【映像】雰囲気のいいチーム渡辺の控室

 期待の新鋭が、また一人輝いた。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Aリーグ第2試合、チーム渡辺 対 チーム中村の模様が6月8日に放送された。チーム渡辺の岡部怜央四段(25)は、チームがフルセットの末スコア4-5で敗れる中、個人としては3戦全勝と完璧な内容で、チームの本戦出場に大きく貢献した。試合後は「夢のような気持ちです」と目を丸くしたが、その勝ちっぷりはエースそのものだった。

【映像】雰囲気のいいチーム渡辺の控室

 岡部四段は2022年4月に四段昇段、プロ3年目を迎えた若手だ。2022年度、2023年度の勝率は5割台で、新四段としては苦労をした方だが、2023年度後半から本格化の雰囲気を漂わせ、2024年度も好調の白星を重ねている。渡辺明九段(40)とは盤外でも交流があり、2年連続でドラフト指名。若手らしい発想、研究の深さ、決断のいい指し手などが高く評価されている。

 渡辺明九段からの絶大な信頼を受けた岡部四段は、大事な第1局を任されると相手のリーダー中村太地八段(35)と対戦。タイトル経験もある順位戦A級棋士との対戦は、本来であれば胸を借りるような顔合わせだが、岡部四段の先手番で相掛かりから始まった一局は、堂々としたものだった。両者ともに、攻めの糸口を探るべく飛車筋を頻繁に変える目まぐるしい序盤。結局3筋で飛車を交換すると、ここから岡部四段が右辺を中心に分厚い攻めで後手を徐々に攻略していった。敵陣深く切り込んでからは、一瞬あわや逆転を喫するかという瞬間もあったが、そのまま押し切るように快勝。チームを勢いづけた。

 すると第2局も連投で出場。今度は渡辺和史七段(29)との対戦だ。相居飛車で先手・渡辺和史七段が左美濃、後手・岡部四段が雁木で始めると、中盤は激しい攻め合いに。岡部四段は右玉にして、相手の攻めをのらりくらりとかわし的を絞らせない巧みな受けを見せると、時間もなくなった終盤に突き放して2連勝。大きな仕事を果たした。

 最後の出番は第6局。佐々木大地七段(29)との対戦には作戦を練ってきたといい、後手番から一手損角換わりを選択した。超早指しながら、お互いが自陣の傷をきっちりと消し合うと、そこから今度はお互い入玉まで見えるかというような展開に。ただ佐々木七段がチャンスと見てか一転、岡部玉に迫るも駒不足がたたり、岡部四段は入玉に成功。駒割りで大きくリードしたこともあり、寄せを諦めた佐々木七段が投了。岡部四段の3連勝が決定した。

 チームはフルセットの末に敗れたものの第1試合の勝利と合わせて、予選Aリーグの2位以上が確定。チーム渡辺としては2大会ぶりの本戦出場を決めた。渡辺明九段には、作戦を相談する参謀としても頼りにされた岡部四段だが、試合後は「夢のような気持ちです。自分が3連勝できるとは。本戦は初めてですけど、このチームでまた戦えるのがうれしいです」と、笑顔が止まらなかった。ファンからも「いやーここまで強いとは」「すげー勝負だった」「れおくんつよい!」「岡部の日」と絶賛のコメントが続出したのも当然だ。これまでも同大会で活躍した後、公式戦でブレイクした棋士は何人もいる。タイトル獲得31期を誇る渡辺明九段からのお墨付きもある岡部四段。注目していて損のない棋士だ。

◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
ABEMA/将棋チャンネルより)
 

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