以前は同じ業種・職種でキャリアを積むイメージがあった転職。いま、転職市場では別の業界・職種に挑戦する「越境転職」をする人が増えている。
【映像】意外な真実 「越境転職」は同業界への転職よりも多い?(グラフ)
年々活性化する日本の転職市場。総務省統計局の調査によると、2023年の転職者数は328万人で2年連続増加。さらに、転職等希望者数は1000万人を超え、7年連続で増加している。
一方、企業も構造的な人材不足が続いていることから、積極的に中途採用を行っている。
そんな中、いま増えているのが異なる業界・職種に移る「越境転職」だ。
株式会社リクルートでHR統括編集長を務める藤井薫氏は「金融業界、銀行で営業としてキャリアを積んだ方が、人材サービス会社で広報を選択したケースもある。『顧客接点で価値を上げる』という点において共通部分もあるのだろう。このように、業種や職種を“越境”して転職する方がどんどん増えている」と現状を語った。
リクルートエージェントの分析によると、2022年度は「異業種×異職種」への転職が全体の約4割を占め、「同業種×同職種」や「異業種×同職種」への転職よりも高い結果となった。また、過去10年で見ても、最も高い割合を示している。
その背景には、ビジネスの在り方を変革する動きがある。
この点について藤井氏は「今は既存モデルでの製品が溢れており、それをどうライフスタイルに繋げるかが重要になっている。とはいえ、同じ社内や業界・職種ではビジネスモデルを変えられないため、異なる考え方を持つ人を採用する必要がある」と説明した。
また、働き方を選ぶ主権が会社から個人に移行し、新しい業界や職種に成長機会を求めて移動することも「越境」が増えている理由だと藤井氏は話す。
「以前は業種・職種というカテゴリーが重要だと思われていたが、転職市場や採用市場においてはその物差しは古くなっており、企業側も人材の具体的なスキルをきめ細かく見ることが大事になっている」
転職者を評価する新たな物差しの一つとなっているのが、「ポータブルスキル」だ。ポータブルスキルとは、業種・職種を越境して持ち運べるスキルのことで、「仕事の仕方」と「人との関わり方」に分類される。
「仕事の仕方」には課題設定力、課題の遂行力などがあり、「人との関わり方」は上司や社内外との関わり方に関するスキルなどが該当する。
「課題設定が上手な方もいれば、お客さんと汗をかきながら成果を出すことが得意な人もいる。例えば、経営者や上司と粘り強くすり合わせを続け融資の判断をしてきた銀行員は別業種に移っても『上位の人とのやりとり交渉や説明をするスキル』は活かせる。この感覚は業種や職種とは違ったものであり、誰もがこういったポータブルスキルをもう一度点検するべきだ」
藤井氏は転職コンサルタントやキャリアアドバイザーと対話することも、ポータブルスキルを洗い出す方法になると説明し、さらに加速する「越境転職」が日本を変えていく可能性もあると強調した。
「日本では今の場所で我慢しながら働いている人が多く、世界的に見ても仕事に熱中している人は少ない。越境転職で自分の才能が開花することは、日本の労働市場や経済にとって非常に重要。自分で人生をデザインして選択することが、日本を変えるカギだ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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