1ラウンド開始まもなく1ダウンを喫したファイターが、懸命の反撃に出るも…「反撃の最中」に突如、カラダの機能が停止したかのように失神。前方に飛び込むように崩れ落ちる衝撃の失神KO劇に場内騒然となった。珍しいKO決着はなぜ起こったのか…まさかの展開に驚いたボクシング元日本王者は「何かが効いたというよりは…」と衝撃結末の要因を指摘した。
6月23日に後楽園ホールで開催された「Krush.162」。石田龍大(POWER OF DREAM)と“狂拳”迅(WIZARDキックボクシングジム)の試合は1ラウンド2分20秒、石田が2度のダウンを奪って圧巻のKO勝利を収めた。敗れた“狂拳”は1ダウンを奪われた直後に懸命の反撃を見せたが、ロープを背負い、左右のパンチを放ちながら突如、フリーズ。前のめりにダイブして崩れ落ちる珍しい失神KOに陣営から即座にタオルが投入された。
第9代Krushフェザー級王座決定トーナメント準決勝は、6連勝中と好調で的確な強打が特徴の石田と、こちらも2連勝と勢いに乗る迅という好カード。しかし、その結末は思いもよらぬ劇的な幕切れとなった。
試合序盤、石田がテンポの良い攻撃でプレッシャーをかけていく。伸びのある左のストレートに加え、ボディ、左と続けると迅の頭が後方に仰け反るシーンも。攻撃の手を緩めない石田はそこからミドルやボディを加えて迅を後退させる。
一連の石田の攻撃にABEMAゲスト解説を務めた元プロボクサーで第40代日本スーパーライト級王者の細川バレンタインは「石田選手、巧くないですか?」とテクニックの高さに驚きを隠せない様子。
防戦一方でロープを背負った迅は、石田の左をまともに被弾してぐらり。懸命にガードを固めるも、大振りの左フックを放ったタイミングで石田のコンパクトな右をもらってしまいカラダが捻じれるようにリングに崩れ落ちた。ダメージの大きさをうかがわせるダウンだったが、辛うじて立ち上がった迅。しかし、再開直後に劇的な幕切れが待っていた。
力を振り絞り反撃に出る迅。しかし、左右のパンチを放った直後、ダメージの蓄積による限界が突然訪れたか、カラダの機能を停止するようにフリーズ。失神しながら前のめりにダイブするように崩れ落ちた。そんな迅が喫したダウンの様子に危険を察知した陣営は即座にタオルを投入した。
この失神KO劇に驚いた様子で口を開いたのは、ABEMAで解説を務めた細川だ。「攻撃対象が足から腹、顔全部」と石田のテクニックと破壊力の高さについて言及。ゴング後も迅はしばらく動けず、メディカルスタッフらが周囲を囲んだが、改めてスロー映像を見た細川は「最後は何かが効いたというより蓄積ですかね」とダメージの蓄積によるダウンであり、石田の技術の高さと破壊力が勝因ではと指摘した。
それにしても、懸命に反撃を試みる最中に訪れた劇的なKO決着。陣営に支えられるようにリングを降りるなどダメージが心配された“狂拳”迅だったが、自身のインスタグラムで「昨日は応援有難う御座いました」とファンに感謝を述べると「散りました。」とダウンした自らの写真を掲載。無念をにじませたが、まだ21歳。これからの巻き返しに期待したい。
一方、コーナーで腰を下ろす“狂拳”の健闘をグローブ越しの拍手で称えた石田は、マイクを握ると「戦う前から“狂拳”選手、強いと分かっていたので、対戦相手が強いからこそ自分自身も成長できます。決勝はしっかりとまた圧勝で勝ちます。応援よろしくお願いします」と来る決勝戦に向けて自信をのぞかせた。