「どういうこと!? ホント命をなんだと思ってるんですか?(中略)命をこんな危ない方法で送るなんてありえないです…」(「ことりのおうち」のXから)
Xにポストされた投稿。鳥の保護活動などをしているNPO法人「ことりのおうち」に、ゆうパックで小鳥が送られてきたという。
「スタッフから『袋に包まれてインコが送られてきました』って連絡が来て、写メを見てびっくりした。名前も書いてなかったので、悪いことをしていると分かっていたのでは。ただ、生きてたどり着けただけでも良かった」(NPO法人ことりのおうち 高見広海理事長、以下同)
郵便局の配送サービス「ゆうパック」では、哺乳類は送れないが、魚介類、昆虫類、爬虫類、鳥類などの小動物は「他の荷物に損害を及ぼすおそれがない」など一定の条件を満たせば送ることができる。しかし、今回のように知識のない一般の人が送ることは小鳥にとって危険だと高橋理事長は注意喚起する。
「せめて箱にして、潰れない状態で発送した方がいい。今回、紙袋で空気穴もなく、ホッカイロも中に入っていた。ホッカイロで酸欠になって死んでしまったり、雑な運び手によって中でぐちゃぐちゃになる可能性もあった」
送られてきた荷物の上には送り主から「飼い主が亡くなった為、飼育ができなくなりました。どうかお引き取りいただけたら幸いです」との文面があった。その後、送り主は高見理事長のXの投稿を見て、謝罪の連絡をしてきたという。
「泣きながら電話をかけてきて謝ってくれた。うちとしては二度とこういうことがないよう、もしそういう時があれば前もって連絡ください、相談してくださいと伝えた。届けてくれてありがとうというスタンスで、それ以上は何も言わなかった」
高見理事長のもとには年間100件ほど、飼いきれなくなった鳥を預かってほしいという連絡が来るという。飼い主が病気になったりして飼えなくなった場合もあるが、「うるさいからいらない」「なつかないからいらない」といった理由で連れてくる人もいるという。
「鳥や小動物は1000円、2000円で買える生き物もおり、セキセイインコも増えやすい。生き物は安易に飼うのではなく、勉強してから飼ってほしい」
今回送られてきたインコは、当初は餌をあまり食べずおとなしかったが、すぐに元気になったという。その後、高見さんのもとには「このインコを飼いたい」という人たちからのメールが100件近く届いたという。
「2名ぐらい今日見に来られ、その中の一人が信頼できる方だったので、その方に託した。その方は『今日病院に行って健康をチェックし、家に連れて帰る。幸せにしたい』と言ってくれた。安心できる人に託せたと思う」
小型の鳥類は近距離(同一都道府県内)ならゆうパックで送付可となっているが、この問題についてダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介氏は「インコを送った人の“中途半端な優しさ”が仇になった」と指摘した。
「本当に何も考えていない人だったら、インコをそのまま外に逃していただろう。しかし、ペットの鳥が野生で生きていくのは難しい。それは忍びないので、『大事に飼ってくれる人に送ろう』と考えたのかもしれない。とはいえ、空気穴がないなど送り方に問題があり、匿名で送った点も不誠実だと感じる」
さらに、二度とこのような事態に陥らないための対策として「鳥を送る際のガイドラインや自主規制基準が必要ではないか。そうした情報を事業者だけでなく一般の人に周知していかないと、またこういうことが起きる」と指摘した。
(『ABEMAヒルズ』より)
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