【WRC】第7戦 ラリー・ポーランド(6月27日~30日)
ラリー・ポーランドの競技最終日デイ4。最終ステージで現在ポイントランキングトップに君臨するヒョンデのティエリー・ヌービルが意地を見せ、渾身の走りでトップタイムを記録したシーンが話題を呼んでいる。
現行ルールにおいて、最終日の最終SS(スペシャル・ステージ)は「パワーステージ」となっており、上位につければボーナスポイントが獲得できる。ヒョンデとしては、2日目にデイリタイアしたオィット・タナックがここで大量ポイントを獲得できるよう画策し、実際にタナックは暫定トップタイムを叩き出していた。
しかし、これに納得できなかったのがチームメイトのヌービルだった。スタート時はタナックにコンマ6秒差で負けていたものの、コース中盤のターマック(未舗装路)ゾーンに入った頃にはその差は0秒に。同エリアはコース上にスピード抑制のための障害物が置かれているのだが、これを交わす際にはブレーキングドリフトをしつつ、マシンを若干触れさせながらギリギリで突破。この激走ぶりに、思わず解説のピエール北川氏も「ちょっと鳥肌だな」とこぼしている。
まさに「今年チャンピオンを獲得するのは自分だ!」と言わんばかりの攻めっぷりで、ステージ終盤のスタジアムエリアに入ってからも、コーナーでは一切無駄のないドリフトでピタッとレコードラインを突き、ジャンプの姿勢もピタッと安定している。まさに「全身からオーラが出ています」(ピエール北川氏)という走りで、見事、タナックを凌駕するタイムを打ち出した。
最終的に、2位のタナックに1.6秒差、3位のカッレ・ロバンペラ(トヨタ)に3.4秒差をつける完勝でパワーステージを走り収め、ラリー・ポーランドを締めている。前日までの結果で、総合ポイントではトヨタ勢に縮められてしまったものの、次戦「ラリー・ラトビア」での活躍を期待せずにはいられない素晴らしい走りであった。