右ストレートで脳を揺らし、とどめの左フックを一閃。荒々しさで知られるカンボジア立ち技王者が完全失神して担架が投入される衝撃のKO劇に魔裟斗は「完全失神させた」と驚嘆。「まるでマイク・タイソンのような左フック」と最大級の賛辞をおくった。
東京・国立代々木競技場第二体育館で開催された「K-1 WORLD MAX 2024」で、金子晃大(K-1ジム自由ヶ丘/FROG GYM)とカン・メンホン(カンボジア)が対戦。試合は3ラウンドに金子の剛腕が炸裂。カンボジアの国技クンクメールの王者カンを右ストレートからの左フックで担架投入の衝撃失神KO。世界最強トーナメントの初陣を勝利で飾った。
-55kg世界最強決定トーナメントの一回戦は、K-1 WORLD GPスーパー・バンタム級王者の金子とカンボジアの国技クンクメール王者カンの対決。ムエタイとクンクメールの共通点は多いが、荒々しい打撃で知られる立ち技格闘技でその最強王者に君臨するカンとK-1王者とのグローバルな対戦となった。
ゴングとともに強烈なローやミドルを見せるカンに対し、金子も強烈なインローで返す。カンのミドルから伸びる左ストレートと独特のテンポから繰り出される連続攻撃に金子もやや距離を取りながら慎重な立ち上りを見せるが、ラウンド終了間際には左ミドルからスネの裏への強烈な右ロー。ゴツンと響く音とともにカンが膝を付きダウン。意外な形でのダウンとともに立ち上がりのラウンドを終える。
2ラウンドもミドルキックでの応酬から始まる。金子の右ミドルにカンはミドルを3連続で蹴り上げ、さらに左のストレートで猛攻。その後も左ミドルからスーパーマンパンチぎみの独特の左ストレートをコンビネーションを見せた。
2ラウンド中盤、試合の流れを変えるべく金子がプレッシャーをかけはじめると一気に相手をコーナーに追い詰め、右ストレートをオーバーハンドぎみに振り抜いて一発でカンからダウンを奪う。その後も右ハイを当てるなど金子が主導権を握るが、カンはこのラウンドは凌ぎ切った。
ダメージの蓄積でやや失速気味のカン。解説の魔裟斗が「スピードがなくなりましたね。キレがなくなりました」と指摘したその瞬間に衝撃のシーンが訪れる。ロープを背にガードを固めるカンに対し、金子はカウンター気味にまず右のストレート。脳が揺れた状態のカンに対して、間髪入れず左フックがアゴを捉えるとカンは前のめりに失神。即座に担架が投入される壮絶なエンディングとなった。
魔裟斗は「今のは右ストレートで終わっていた。倒したんだけど左フックで完全に失神させましたね」と解説。さらに実況者の「バズーカ砲のようなパンチ」という言葉に、スローリプレーを確認しながら「マイク・タイソンのような左フック」と呼応してコメントした。
未知の立ち技の刺客としてカンボジアから参戦したカンだが、担架が用意されるほどのダメージ。多数のメディカルスタッフが囲む物々しい雰囲気のなか退場していった。ファンからは「パワーが凄い」「相手大丈夫か?」「金子と当たったのが運の尽き」といった声。圧巻の勝利に魔裟斗も「金子はよく練習しているな、というのがわかります。3ラウンド激しく打ち合っても息ひとつ上がってないですもんね…」と技量と体力の高さをただただ称賛した。