“常勝軍団”としての実力を、これでもかと見せつけた。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Bリーグ第3試合、チーム永瀬 対 チーム菅井の模様が7月13日に放送された。前回優勝のチーム永瀬が本領を発揮し、5勝1敗でチーム菅井を圧倒。堂々の予選1位で本戦行きを決めた永瀬拓矢九段（31）は、「良い形で予選を終えることができた」と笑顔を見せた。
先発は、チームの勝ち頭・増田康宏八段（26）。チーム菅井の丸山忠久九段（53）との初戦では、増田八段が相手の得意戦法・一手損角換わりを受けずに自分の土俵で戦うべく相掛かりの出だしとなった。ベテランの勢いに押され苦しい時間を過ごしていた増田八段だったが、勝利へ切り込んでいった丸山九段にミスが出て逆転。粘り強い指し回しでチームに最初の白星をもたらした。
第2局は早くもリーダー対決が実現。永瀬九段と菅井竜也八段（32）は、中飛車の出だしから乱戦へと発展した。菅井八段が積極的に攻めに出たが、永瀬九段が玉頭の急所から反撃に出て菅井玉を完封。快勝を飾ってみせた。この連勝に続け、と第3局ではチーム永瀬の精神的支柱でもある森内俊之九段（53）が登板。連投してきた相手リーダー・菅井八段の三間飛車に、急戦で対抗した。重厚な戦いは菅井八段がペースを握り、森内九段には苦しい中盤戦に。しかし、終盤戦で詰みがないことを見切った森内九段が勝利を飾った。
チーム全員が1勝ずつを挙げ、3連勝でスタートダッシュに成功したチーム永瀬。第4局では菅井八段が3連投を選び再びリーダー対決となったが、ここでは菅井八段が意地の1勝をもぎ取ってみせた。3勝1敗となったチーム永瀬だが、この勢いは止まらない。第5局で2度目の登場となった増田八段は、佐藤康光九段（54）が工夫を見せた序盤にやや驚きを見せたものの、惑わされることはない。しっかりと急所を見切って一気に寄せ切り、チーム勝利に王手をかけた。
第6局は、森内九段VS丸山九段のベテラン対決が実現した。2002年度の第60期名人戦七番勝負でも激突し、公式戦では48局を戦って24勝24敗と互角。初のフィッシャー対決とあり、大きな注目を集めていた。攻めに出た丸山九段が攻めに出て有利を築いたが、森内九段が△7一角から逆転に成功。森内九段が熱戦を制し、チーム勝利を決めた。
5勝1敗で試合を制し、堂々のBリーグ1位で予選突破を決めたチーム永瀬。リーダーの永瀬九段は「メンバーが2局ずつ指して、良い形で5勝1敗を獲ることができました」と笑顔が光った。個人では永瀬九段は予選通算4勝1敗とチーム勝利をけん引したが、「1試合目の決着局は増田さん、2試合目は森内先生に決めていただいた。チーム皆で良い形で予選を終えることができた」と力を合わせて戦った仲間を労った。
“常勝軍団”が目指すは、大会連覇だ。見事予選突破を決めたものの、強敵揃いの本戦は負ければ終わりの激戦が待っている。永瀬九段は、「予選は戦術的に試合を運びたいと思っていたが、結果的にはそれが上手く行った。本戦でも自分なりに考えて、勝ちを積み上げられるように頑張りたい」とコメント。豊富な経験、実戦に基づく戦術、そして頼もしいチームメイトがいれば、頂点までのルートも拓けているはずだ。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
