7月13日、東京・日本武道館でプロレスリング・ノアが、夏のビッグマッチ『ABEMA presents DESTINATION 2024』を開催した。
ダブルメインイベントの1試合目は、“方舟の象徴”丸藤正道と、WWEスーパースター AJスタイルズの夢の対決が実現。以前は世界最大のプロレス団体WWEが、他団体のビッグマッチにトップレスラーを貸し出すことはほぼありえなかったが、今年トリプルH体制となり他団体との交流を解禁。NOAHがWWEとの関係強化に動いたこともあり、かつて実現不可能だった“奇跡の一戦”が現実のものとなり、ともに“天才”と呼ばれた両者の闘いは、“プロレス名人戦”ともいえる崇高な闘いとなった。
ベテランのトップレスラー同士の対戦らしく、序盤はグラウンドの攻防が続く静かな立ち上がり。まずロープワークの中でカウンターのドロップキックを喉元にヒットさせたAJが先制し、それを合図に達人同士の読み合い化かし合いが展開される。
AJがトップロープに跳び乗ってのフェノメナール・フォアアームを狙えば、丸藤はトップロープにドロップキックを入れることでロープを揺らし未遂に終わらせて撃墜する。また場外乱闘の中で、AJがリングを取り囲む鉄柵に跳び乗ってのフェノメナール・フォアアームを成功させると、丸藤はそれに対抗するかのように場外で、不知火を仕掛けAJの後頭部を鉄柵に打ち付ける。両者、ひらめきと引き出しの多さでも一歩も引かない。
後半、丸藤が打撃のコンビネーションを仕掛けると、AJもコンビネーションで対抗し、AJのペレキック(オーバーヘッドキック)がクリーンヒット。それでも丸藤はAJのカーフスライサーをパーフェクト・キーロックで切り返すと、スタンドに戻し虎王のコンボでダウンさせる。
そして丸藤がついに不知火を決めて、トドメのポールシフトを狙うが、AJはそれをふりほどくと、三沢光晴さんの代名詞のひとつであるタイガードライバーの体制からスタイルズクラッシュへ。
丸藤もこれだけは喰らえないとばかりに回転エビ固めで回避するが、AJはクラッチをほどかず、餅つきパワーボムからついにスタイルズクラッシュを決めて丸藤から3カウントを奪取した。
試合後、7月26日から始まるWWE日本公演にAJスタイルズの参戦が電撃決定。丸藤正道との天才対決であらためてその奥深い実力を見せつけたAJスタイルズが、今度はWWEの魅力を日本のファンに届けてくれることだろう。
文/堀江ガンツ