<大相撲七月場所>◇初日◇14日◇愛知・ドルフィンズアリーナ
異色の新十両力士が土俵に上がるも、所作を間違ってしまうハプニングが発生。その瞬間に見せた「しまった」リアクションがいかにも初々しく「緊張してるのかな」「間違っても可愛い」「混乱してるw」「頑張って」といった反響が寄せられる一幕があった。
十両十四枚目・生田目(二子山)が先場所幕下で7戦全勝優勝を果たして勢いに乗る十両十四枚目・藤青雲(藤島)を押し倒して白星発進を飾った。
ハプニングは取組前の所作で起きた。呼出に名前を呼び上げられると、館内からは「生田目!」と声援が飛ぶ。土俵に上がった生田目は一礼をし、所作のルーティンに入った。しかし…順番を間違ってしまった様子の生田目はしばし混乱した様子を見せ、力水を渡すはずの力士も「あれ?」といった様子を浮かべた。
その後、落ち着きを取り戻した生田目は、頭から強く当たると、左右の諸手を突いて力強く前へ。藤青雲が突き押しで反撃を試みると、巧くいなして体を入れ替えて藤青雲を土俵際へ。一気の押し倒しで初日白星を飾った生田目は、両足でぐっと踏ん張り、ふぅ~と息を吐いて新十両での初白星を噛み締めた。さらに勝ち名乗りを受ける際にも、自らの足をパンパンと2度ほど叩き、今場所にかける強い意気込みをのぞかせた。
この取り組みについて元横綱若乃花の花田虎上氏は「当たりはいいですね。下半身、全身で前に出ている」と評価。一方で「ただおっつけ方が大きいので少し脇が空いている。巧い人だと、すっと入られてしまう」と改善点も指摘した。
生田目は小学生までタイ出身の母に育てられ、中学から高校までは地元・栃木の児童養護施設で育ち、高校卒業とともに角界入りした異色の経歴を持つ。場所前でのインタビューで関取と呼ばれることについて問うと「強くならなきゃいけない」と意気込みを語った。さらに化粧まわしについては「象です。僕がタイのハーフで、象はタイの神様なので。あと生田目の『生』だけ書いてある斬新なスタイリッシュなシンプルなやつも」。
生田目の人柄は二子山部屋のYouTubeチャンネルでファンの間ですでに話題を呼んでいるが、お母さんに十両昇進を伝える電話で「産んでくれてありがとう。愛してるよ」など気持ちを伝えていた場面について触れると「(日本では)言わないんですか? 言った方がいいですよ。海外特有なんでしょうね。日本とは家族愛は少し違うと思う」とも。昇進後の表敬訪問の際に実家に宿泊し、高校の監督にお祝いで連れて行ってもらったというお寿司での様子にも触れ「お母さん、めちゃめちゃ食べてましたね。ウニばっかり。僕は玉子好きなので、玉子ばっかり」と面白エピソードを交えつつ笑顔で話した。
角界随一の“陽キャラ”である生田目。新十両となり、土俵上はもちろん、土俵の外でもファンを魅了してくれるに違いない。(ABEMA/大相撲チャンネル)